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フィジカル勝負に敗れて負傷者続出。
サンウルブズの敗因は見えているか。
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/03/05 11:20
フィジカル勝負で常に劣勢を強いられたサンウルブズ。まずはその原因を究明してほしい。
日本代表でもあるレベルズのNO8が。
現実はシビアだった。
レベルズはキックオフを深く蹴り込み、きっちりと圧力をかけてミスを誘い、レベルズボールのスクラムにする。そして、NO8で日本代表でもあるアマナキ・レレイ・マフィが単独でサイドアタック。一気にゴール前まで迫って連続攻撃に持ち込み、ダメ押しのトライを狙う。
サンウルブズは、カークがラストパスを阻止しようと試みたが、これもTMOの末にインテンショナル(故意)ノックオンと判定され、レフェリーは、ペナルティトライを宣告。レベルズに自動的に7点が追加され、サンウルブズにかすかに灯った1ポイント獲得の可能性は消滅。前節以上にアンチクライマックスな結末となった。
フィジカルな戦いで怪我人が続出。
このゲームは、始めから危機的状況が連続する展開だった。
9分にはCTBラファエレティモシーが10分間のHIA(脳しんとうチェック)でピッチを離れて、代わりに野口竜司がWTBのポジションに入り、CTBにはWTBだったウィリアム・トゥポウが回る。
14分には司令塔のSOヘイデン・パーカーがハムストリングを傷めて立川と交代。
さらに20分にはWTB山田章仁が、タックルに入った際に顔面を強打して退いた。
この時点で控えのバックスは田中だけ。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は、FWの徳永祥尭をWTBとして投入する。
その時点でスコアは0-10。レベルズは、デカくて強い選手をガンガンぶつける「ダイレクトでフィジカルなゲームプラン」(デイヴィッド・ヴェッセルズHC)ですでに2トライを挙げ、優位に立っていた。
そんな状況で7人のバックスのうち3人が20分間で入れ替わり、しかもそのうち1人は本来はFWのプレーヤーだ。確かに徳永は7人制日本代表としてリオデジャネイロ五輪に出場した高い身体能力を持つ選手だが、FWとバックスではそもそもポジショニングも違えばスピードの出し方も違う。まして攻守に他の選手との緻密な連携が要求されるだけに、この時点で勝利の2文字は大きく遠のいた。