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フィジカル勝負に敗れて負傷者続出。
サンウルブズの敗因は見えているか。
posted2018/03/05 11:20
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph by
Kiichi Matsumoto
満身創痍のサンウルブズに、一筋の光が差し込んだのは試合終了まであと少しという時間帯だった。
オーストラリアはメルボルンに本拠を置くレベルズのゴール前に迫り、レベルズが何度も繰り返すペナルティでことごとくスクラムを選択。スコアが10-30と離れているにもかかわらず、いやだからこそ、トライにこだわって攻め続けた。
後半36分にはポスト正面の5メートルスクラムから左へ展開。途中からSOに入った立川理道のパスを受けたCTB中村亮土がゴールラインに飛び込んだ。
トライか否か。
TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)に委ねられた判定は、ボールの真下にレベルズの選手の足があってグラウンディングが認められないというもの。つまり、ノートライだ。
続く5メートルスクラムからサンウルブズは右に攻めた。が、レベルズはオフサイド覚悟で防御に飛び出し、反則をとられたもののトライは与えない。サンウルブズは、このエリアに入って5回目のスクラムを選択する。
位置はまたもポスト正面だ。
これまでは、この位置から立川を左に配し、すべてそこにボールを集めてアタックを仕掛けてきた。レベルズの防御も、立川に最大限の注意を払っている。
ボールを持った途中出場のSH田中史朗は、またもや左に走る。が、今度は左に走りながら右にパス。内側に駆け込んだNO8エドワード・カークがそのままインゴールに飛び込んだ。
中村のコンバージョンが決まって17-30。
勝ち点1の希望が見えたラスト1分。
残りは1分。
次のキックオフからアタックを仕掛けるチャンスがもう一度残されている。
チャンスを活かしてトライを取りきり、かつコンバージョンを決めればスコアは24-30と6点差になり、前節に続いて7点差以内負けの1ポイントを獲得できる。しかも、前節は「トライを狙わないのかよ!」と言いたげなブーイングも飛んだ1ポイントだったが、この試合は大敗に等しいところから逆襲しての嬉しいポイント獲得となる――はずだった。