ラグビーPRESSBACK NUMBER
フィジカル勝負に敗れて負傷者続出。
サンウルブズの敗因は見えているか。
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/03/05 11:20
フィジカル勝負で常に劣勢を強いられたサンウルブズ。まずはその原因を究明してほしい。
立川理道が変えた流れ。
しかし、サンウルブズが観客席を沸かせたのは、窮地に立たされてからだった。
流れを変えたのは立川だった。
21分、自陣深くでボールを持つと相手に向かって直進。タックルされても諦めずにほふく前進でチームを前に出す。そして、レベルズのオフサイドを誘って相手陣でのラインアウトにつなげた。しかしこのラインアウトが上手くいかず、前半だけで4回もボールを失って攻撃の起点を作れなかったが、それでも粘り強くアタックを続けて26分にPGを返し、7点差とする。
そして35分、レベルズSHウィル・ゲニアにかけ続けたプレッシャーが功を奏し、コンタクトをさけてボールを大きく展開したところを、トゥポウが狙い澄ましてインターセプト! そのまま50メートルを独走し、中村のコンバージョンで10-10のタイスコアに追いついた。
失いかけた希望を取り戻したハーフタイムが終わると、ゲームはふたたび暗転する。
レベルズは2分にPGで3点をリードすると、5分にはスクラムからサインプレーを仕掛け、メンバーが大きく変わったサンウルブズの組織防御を翻弄。トライを追加してリードを広げ、その後も2トライを加えて得点を30点まで伸ばした。
本当に準備期間が問題だったのか?
詳細を省いて敗因だけを挙げれば、フィジカル勝負に敗れて負傷者が続出したことに尽きる。
ジョセフHCは、負傷者続出の要因を「準備期間が足りない。スーパーラグビーの他のチームは、2カ月半のプレシーズンを経て強化しているが、先週のブランビーズ戦も今週のレベルズ戦も明らかに体力差があり、接点で負けていた」と説明した。
ちょっと待ってもらいたい。
本当にこれは準備期間が短かったことに起因しているのか?
サンウルブズは今季、トップリーグの日程を短縮して事前準備期間を2週間長くとったのではなかったのか。
もちろん、それでも他チームより準備期間が短いのは明らかだが、昨季も参入初年度の'16年も、ここまでバタバタと選手が倒れることはなかった。スーパーラグビー開幕1カ月前までトップリーグや日本選手権が行われた関係で、疲労が溜まった選手がいる反面、フィットした状態を維持した選手もいたからだ。