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二松学舎で1年秋から3番を打つ男。
平間陸斗の精神年齢と実戦力に唸る。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/03/05 08:00

二松学舎で1年秋から3番を打つ男。平間陸斗の精神年齢と実戦力に唸る。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

平間陸斗の2年の夏は、3回戦で三本松(香川)に敗れて終わった。最後の夏、一回り大きくなって帰ってこられるか。

とっさに出るスイングがすごい。

 昨秋の東京都大会以来、4カ月ぶりに目の前で見た平間陸斗はひと回り大きくなっていた。秋から5kgほど体重が増えて、83kgになったという。

 こちらから見るとちょっとポッチャリしたように見えるが、ここから先、春から夏にかけて練習でこってり続けることで、ちょうど程よくひと絞りされるだろう。

 バッティング練習を見ても、重くなった体を持て余している様子はない。低い角度のライナー性が左中間からセンター方向へ飛んでいく。

 ちょっと力んだ感じで引っぱった打球が飛ぶと、たとえそれがフェンス直撃でも、次の打球をセンター方向へ修正する。目先の結果より、投球を捉えるタイミングの確かさのほうを優先して考えている。

 マシンの投球が外に逸れる。とっさにスタンスを踏み換えて、打球を右中間へのライナーにしてみせた“とっさ力”がすばらしい。何が飛んでくるかわからない実戦でのバッティングなんて、「とっさにどんな打ち方ができるのか」。極論すれば、それがすべてだろう。

 練習の時のような“自分のスイング”で打てることなど数えるほどしかないことは、経験者の方なら体感でご存知のはずだ。

 自分のスイングにこだわらず、投球に合わせたスイングを躊躇なく繰り出せる実戦力が、二松学舎大附高・平間陸斗の勝負強いバッティングの正体と見た。

「チームを束ねる力では突出してますから」

 市原監督もこう自信をのぞかせる。

「『さあ、見てください!』って選手ですね、平間の場合は。ウチは、ほかにも身体能力抜群の畠山大豪(3年・外野手・180cm83kg・右投右打)や、この春は4番で使おうと思ってる保川遥(3年・一塁手・181cm80kg・右投右打)とか、楽しみな選手が何人もいるんですが、やっぱりリーダーシップというか精神年齢というか、チームを束ねる力では平間が頭ひとつ突出してますから」

【次ページ】 ミスしても「すいません」は不要。

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