フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
団体戦で見えたフィギュアの最新情勢。
カナダ優勝の理由と日本5位の意味は?
posted2018/02/13 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
2月12日、平昌オリンピックのフィギュアスケート団体戦が終了。日本チームは4年前のソチオリンピックと同じ総合5位に終わったものの、それなりに収穫のある試合となった。
今回、過去の成績によって団体戦に出場したのは、カナダ、OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)、アメリカ、日本、中国、イタリア、フランス、ドイツ、イスラエル、韓国の10か国。
SPの後、トップ5か国がフリーに進出。SP、フリー合計3日間に渡って競われた。
フィギュアの朝スタート開催には無理がある!?
2月9日初日は、男子とペアのSPから始まった。
朝の10時から開始というこれまでにないスケジュールだったせいか、男子は全体的に不出来な演技が続出した。
カナダのパトリック・チャンは、最初の4トウループで転倒し、次の3ルッツに急遽2トウループをつけてコンビネーションにしたものの、最後の3アクセルでも転倒した。
アメリカのネイサン・チェンは、出だしの4フリップ+2トウループを着氷したが、次に予定していた4トウループが2回転になり、3アクセル転倒と、今シーズン最悪の演技になった。
「開始時間が早かったことは、いくらか影響があったのかもしれない。準備はできていたと思ったけれど、(ジャンプへの入り方で)ちょっと焦りすぎました」と演技後コメントした。
ロシアのミハィル・コリヤダは冒頭の4回転を2種類とも転倒し、アクセルが1回転半にパンクして最後まで持ち直すことなく演技を終えた。
安定した強さを見せつけた宇野昌磨。
最終滑走だった宇野昌磨は、出だしの4フリップこそステップアウトになったものの、素早く持ち直して後半の4+3トウループ、3アクセルをきれいにきめた。
前の選手たちの失敗が続いたことで影響があったかと聞かれた宇野は「ネイサンとコリヤダ選手を見ていましたが、(彼らが)あんな失敗をするところは初めて見た。自分も失敗するのかなと思ってフリップを跳んだけれど、思ったよりこらえることができました」と淡々と答えた。オリンピックだから特別な緊張はなかったという。
そして、ネイサンらより上にいったことで個人戦への自信がついたかと聞かれると「個人戦と団体戦は全くの別物」と冷静に答えていた。
最終的には、宇野が103.25で1位、大きなミスなく滑ったイスラエルのオレクシイ・バイチェンコが88.49で2位、2度転倒したパトリック・チャンがそれでも3位というSPの結果となった。ネイサン・チェンは4位、ミハル・コリアダは10人中8位だった。