プロ野球亭日乗BACK NUMBER
筒香嘉智も言及、少年野球の大問題。
プロ側からも勝利至上主義改善を!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/01/19 17:00
野球普及へ積極的な行動を見せている筒香。ベイスターズや侍ジャパンの主砲は、球界の将来を案じている。
楽しいはずの野球なのに、大人の顔色を見ている。
そこで筒香が挙げたのは指導者や親が勝利至上主義を求めすぎて「楽しいはずの野球なのに、子供が怒られないように、失敗しないように大人の顔色を見てプレーしている」こと。技術や動きを教えすぎるので、子供達が指示待ちの行動しかできなくなっているので「見守ってあげることも必要」とも指摘した。
また一発勝負のトーナメント形式での大会運営では、試合に出る選手の負担は大きく、逆に試合に出られない選手は全く経験がつめない弊害がある。そういう問題をクリアするためには、負けたら終わりではないリーグ戦形式で開催すべき、と踏み込んだ考えも示していた。また飛びすぎる金属バットによるマイナスも指摘していた。
こうした様々な問題の背景にあるのは、筒香が最初に語った日本野球の勝利至上主義があることは間違いない。高校野球を頂点に少年野球まで、勝つために大人が子供を動かすシステムが一般化している。ただ筒香はドミニカ共和国や米国で子供達が勝つためではなく、いかに楽しんで野球をやっているかということを身をもって感じてきた。その結果として彼らの方がはるかに成長曲線としては大きなカーブを描いている現状を指摘するのだ。
少年野球の過密日程のネックはプロ球団主催の大会?
これは少年野球や高校野球の問題、と考えがちだが、実はプロ野球の12球団も動くことができうることなのである。
実は以前から肩肘の野球障害の問題で、堺ビッグボーイズの瀬野竜之介代表から、こんな話を聞いていた。
「実は少年野球の過酷なスケジュールの問題で1番のネックになっているのが、ジャイアンツカップを頂点にしたプロ球団が主催している野球大会なんですよ」
ジャイアンツカップとは、毎年8月に巨人などが主催して行われる中学硬式野球の全国大会で正式名称は「全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」という。巨人の球団創設60周年を迎えた1994年に創設され、それまで別々に「日本一」を決めていたリトルシニア、ボーイズリーグ、ポニーリーグ、ヤングリーグ、フレッシュリーグの少年野球の代表チームが一堂に会して、真の「日本一」を決める大会という位置付けだ。