プレミアリーグの時間BACK NUMBER
CBに113億円つぎ込んだリバプール。
ファンダイクは移籍金に見合うの?
posted2018/01/08 07:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
一級品の購入か、大金の無駄使いか?
1月1日、今冬の移籍市場が開くとともにリバプールに加入したCBビルヒル・ファンダイクの史上価格には、意見が大きく分かれている。サウサンプトンとの間で合意を見た移籍金は7500万ポンド(約113億円)。DFとしては世界最高の金額だ。
世間の意見が一致するのは、異常なインフレが当たり前のように続く、プレミアリーグ移籍市場を反映した価格だということぐらい。「正常な移籍市場なら史上最高のレベルの選手が買えるはずの金額だ」という、元リバプールFWスタン・コリモアの発言も頷ける。
その金額にファンダイクが見合うかどうかは、賛否両論ある。元リバプールDFのジェイミー・キャラガーは「一線級のCB自体が貴重。かつて最高額でのマンU移籍が騒がれたリオ・ファーディナンドは真価を証明した」と好意的だ。一方でプレミアを代表するFWだったアラン・シアラーは「良い選手だが、そこまでの価値は全くない」と言い放っている。
ファーディナンドが、移籍金3000万ポンドで英国史上最高値のDFとなったのは2002年夏のこと。その後15年半の間に、補強予算源となる放映権収入は4倍以上に跳ね上がっている。その事実を考えれば、ファン・ダイクの価格が不当とは言い難い。
さすがのサウサンプトンも後釜探しに苦労しそう?
今季開幕前、マンチェスター・シティがトッテナムから引き抜いた右SBカイル・ウォーカーに5000万ポンドの値がついたばかり。またマイケル・キーンが、2500万ポンドでエバートンに移籍している。キーンは当時24歳。となれば、まだ26歳のファンダイクにはキーンの3倍程度の価値はあるのではないか。
「今回ばかりは、さすがのサウサンプトンも後釜探しに苦労しそうだ」と、BBCラジオにコメントを寄せたのはハリー・レドナップ元監督。サウサンプトンは下部組織での育成と同時に、即戦力のスカウティングにも定評があるが、デヤン・ロブレン(現リバプール)を1年で引き抜かれた際には、レンタルでトビー・アルデルバイレルト(現トッテナム)を獲得。その翌年にアルデルバイレルトの買取りに失敗した際にはファンダイク……と、知名度は低くても潜在能力は高かったCBを獲得してきた。
その中でもファンダイクは最大級の掘り出しものだった。