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村田修一の移籍難には理由がある。
三塁手豊作の時代、一塁やDHなら?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2017/12/21 17:00
2017年も118試合に出場してOPS.754と十分に一流の数字を残している。戦力としては計算が立つ選手なはずだが……。
パ・リーグにも三塁手・村田が欲しそうなチームはない。
パ・リーグに目を移しても、ソフトバンクは松田宣浩が打率.264、安打140、本塁打24、打点71の好成績。
西武はレギュラーの中村剛也は打率.217、安打90、本塁打27、打点79と低調でも、次を担う外崎修汰が一軍で打率.258、安打113、本塁打10、打点48、盗塁23を挙げ、アジアプロ野球チャンピオンシップでは打率.462でMVPに輝いている。
楽天はウィーラーが打率.271、安打147、本塁打31、打点82でベストナインに輝き、若手の内田靖人はイースタン・リーグ1位の本塁打18、打点66を記録。
オリックスはベテランの小谷野栄一がレギュラーとして打率.277を残し、遊撃手でゴールデングラブを獲得したことのある中島宏之が'17年は三塁手としても9試合に出場してチームトップの打率.285を記録している。
日本ハムは'16年の本塁打王レアードが'17年も本塁打32、打点90とタイトルに迫り、若手の横尾俊建は本塁打7、打点20と長打力をアピール。
ロッテはリーグを代表する二塁手の鈴木大地が来季は三塁にコンバートされ、次代の三塁手候補としてドラフト1位で安田尚憲(履正社)を獲得している。
では一塁手、または指名打者だと……?
こうして12球団を見回すと、村田が入れそうなのはセ・リーグでは新外国人の入団を待つ中日、ヤクルトぐらいしかないが、中日は大器と言われて久しい高橋周平、ヤクルトは'15年に三塁手として首位打者に輝いた川端慎吾に、若手では'17年にイースタン・リーグで本塁打を16本(リーグ3位)放った廣岡大志が控えている。
こういう状況を見れば巨人を自由契約になって2カ月が過ぎても村田を獲得しようという球団が現れないのは不思議でもなんでもない。
そこで「三塁手」という縛りを解いて一塁手('17年に30試合出場)、ないしは指名打者(パ・リーグ)という設定で見ると、新外国人の獲得が遅れているロッテ、ヤクルトが有力候補として浮上してくる。
ロッテは'17年に一塁を守ったパラデス、ダフィーが戦力外になり、ヤクルトも同様にグリーンとリベロが戦力外になっている。今年のチーム本塁打を見ると、ともにリーグ唯一の2ケタ本数(95本)に低迷し、チーム成績も最下位に沈んでいる。