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日本の特産品“トップ下”が消える?
本田・香川が外れた戦術的な意味。

posted2017/11/04 11:30

 
日本の特産品“トップ下”が消える?本田・香川が外れた戦術的な意味。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

W杯出場を決めたオーストラリア戦、本田と香川に出番は訪れなかった。それを思うと今回の招集メンバーは驚きではないだろう。

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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Takuya Sugiyama

「もちろん私はどちらのチームもリスペクトするが、何かをトライしに行きたい」

 ダークスーツに身を包んだハリルホジッチ監督が、ブラジル戦とベルギー戦に向けたメンバーを発表し始める。ここまではいつもと同じ光景だ。

 だが程なくして、JFAハウスの記者会見場はどよめきに包まれる。招集リストには香川真司の名前も、本田圭佑の名前も含まれていなかったからだ。

 だがこれはある意味で、自然な流れなのかもしれない。

 ハリルホジッチ監督は先月のニュージーランド戦の際、こちらの質問に対して次のように断言している。

「今のところは、より多くの選手を見て、最終的に誰が残るかを見てみたい。その過程で、選手たちもレベルを上げていく。(今の状況は)このチームが見せられる、最高のレベルからはまだ遠い」

 ちなみにハリルホジッチ監督はブラジル戦とベルギー戦に、岡崎慎司も加えた3人の招集を見送った理由として、パフォーマンスが上がっていない点も挙げている。ただし決断の背景には、チーム作りに関する深遠な思惑も働いているのではないかと思われる。

ハリル監督の試みは、アイデンティティにも関わる。

 ハリルホジッチ監督は就任以来、積極的にチームの意識改革を図ろうとしてきた。ポゼッションから縦方向に速いサッカーへ、組織的に戦いながらも1対1の強さも重視したアプローチへ、中央突破ではなく、サイドへの速い展開へ。幾多のスローガンが掲げられてきたことは、繰り返すまでもない。

 だがさまざまな試みは、もっと普遍的なテーマに翻訳することもできる。すなわち「誰を試合のキーマンにして、いかにして勝とうとするのか?」という新たな問いかけだ。

 この設問は「日本代表や日本のサッカー界は、何を武器に世界と戦っていくのか」という、アイデンティティの問題にまで関わってくる。

【次ページ】 日本サッカー最大の特産品はトップ下だった。

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