フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界女王メドベデワの優勝でGP開幕。
コストナー、樋口が続くも圧巻の強さ。
posted2017/10/25 15:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
ISU/ISU via Getty Images
GP初戦、ロステレコム杯の女子。
世界女王エフゲニア・メドベデワが相変わらず、圧巻の強さを見せた中で、ベテランのカロリーナ・コストナー、そして樋口新葉が健闘して2位、3位に。レベルの高い女子の戦いとなった。
エフゲニア・メドベデワの新SPは、イリヤ・アベルブフ振付によるショパンの『ノクターン』を使用したプログラムである。リンクの中央に出てくると、演技前にしばらく目を閉じて精神統一する表情は、とてもまだ17歳とは思えない迫力を感じさせた。
バイオリンの音色にのってフライング・キャメルスピンから演技を開始。次のステップシークエンスの最中に、少しエコーのかかった「Come Back……」というミステリアスな女性の声が入る。この演出も含め、この作品は魂の旅を表現したプログラムなのだと後に本人が説明してくれた。
後半の3フリップ+3トウループ、3ループ、2アクセルと完璧にきめ、80.75を獲得。スピン、ステップは全てレベル4、ジャンプも全てプラスの加点がつくという女王らしい演技を見せた。
フリーで転倒が1回あるも、余裕の勝利。
フリーは、ダニル・グレイヘンガウス振付、映画『アンナ・カレーニナ』のサントラを使用したプログラム。3フリップ+3トウループ、3ルッツ、3サルコウ+3トウループなど、合計7度の3回転ジャンプをきれいに成功させたが、最後の2アクセルで転倒。
めったにジャンプミスをしない彼女の失敗に、会場は驚きのどよめきに包まれた。
だが本人は余裕の笑顔のまま、落ち着いて残りを滑りきった。フリー150.46でトップを保ち、総合231.21で優勝。
「今日は良い演技ができたと思います。ミスもあったけれど、特に最後のアクセルはちょっと喜ぶのが早すぎた。今後の教訓にできる有益なミスでした」と会見で語った。
この大会では、少なくとも転倒1回ぐらいで自分の地位が脅かされることはないという自信に基づいた、圧倒的な貫禄が感じられた。