ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
ブンデスリーガはなぜ弱くなった?
代表とは真逆、欧州で存在感低下中。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byAFLO
posted2017/10/19 07:00
ネイマールら擁するPSGに完敗したバイエルン。アンチェロッティ監督との確執が噂されたロッベンら選手たちは、新体制で逆襲なるか。
ライプツィヒ、ホッフェンハイムは経験不足を露呈。
では、ドイツ勢が精彩を欠いている要因は何か。一つは常連クラブの不在が挙げられる。UEFAクラブランキングで16位のレバークーゼン、19位のシャルケ、38位のボルシアMGなどに代わって、今シーズンは欧州カップ戦での経験が皆無だったRBライプツィヒ、ホッフェンハイムが参戦している。
この2チームが文字通りの経験不足を露呈。ブンデスリーガでは好調を維持しながら、ヨーロッパの舞台では信じがたい凡ミスでリズムを乱したり、チャンスを作りながらも最後の詰めの甘さを露呈したりして、ここまでは浮上のきっかけを掴めずにいる。
経験に乏しいブンデスリーガのクラブが欧州カップ戦でピリッとしないのは珍しい話ではない。例えば、ヴォルフスブルクやドルトムントはかつて、リーグ優勝を果たした翌シーズンのCLでグループステージの壁を越えられなかった。
前者が2015-2016シーズンに準々決勝、後者が2012-2013シーズンにファイナルまで駒を進められたのは、いわゆる産みの苦しみを味わったからこそ。ドイツ国内でポテンシャルを証明済みとはいえ、RBライプツィヒもホッフェンハイムも欧州で結果を残すには相応の時間がかかりそうだ。
ヴェルナーすら「耳栓を頼んだけど……」。
経験不足を象徴するエピソードも生まれている。トルコ王者ベシクタシュの本拠地ボーダフォン・アリーナに臨んだ一戦で、RBライプツィヒのベルナーが前半32分に自ら交代を願い出た。後に明らかになった理由は、呼吸困難による目眩の発症。熱狂的で知られるベシクタシュ・サポーターの地鳴りのような声援が、21歳の若きストライカーのメンタルを蝕み、プレー続行を不可能にしたのだ。ベルナーは当時の状況をこう振り返る。
「まったく集中できなくて、気分が悪かった。耳栓を頼んだけど改善しなかった」
ラルフ・ハーゼンヒュットル監督が「事前の対策などできなかった」と肩を落としたこのアクシデントで得点源を失ったRBライプツィヒは、結局、最後まで相手GKファブリの牙城を崩せずに0-2でアウェーゲームを落とすことになった。