福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が語る現代サッカーMF像。
日本の“中盤3枚”に欲しい能力って?
posted2017/10/16 11:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
今回のAマッチウィークは日本代表のテストマッチ2試合、そしてロシアW杯南米予選のアルゼンチン戦などをチェックしました。日本の前にアルゼンチンの話をしますが、解説者目線で見てもやっぱりメッシは……すごすぎました(笑)。
ただメッシがハットトリックしたり、前線でボールを収めたりするなど攻撃面で力を発揮できたのは、守備での負担を軽減されていたから。決して“サボっている”わけではないですけど、深い位置まで相手選手を追いかけたりはしていなかった。それだけにボランチから後ろの選手たちが相当守備に力を使わざるを得なくなっていた。「チームと個の関係」や「中盤のバランス」というのを考えるにはいい機会でしたね。
一方、日本が臨んだニュージーランド戦とハイチ戦は、これまで出番の限られていた選手たちをテストする場となりました。結果は皆さんも知っての通りの1勝1分け。個人的に感じたのは、チームのコンセプトの枠内で自分のプレーをどう出していくかというところで、選手それぞれが迷いながらプレーしていた印象がありました。
長谷部や吉田不在時に誰が中心となっていくのか?
個人的な希望としては、チーム全体のバランスがある中で自分自身の良さを出していく。もちろんそれは大事なことなんですが、もっと個のアピールを見せて欲しかったかなと思います。
特に「誰が中心となって試合を作っていくのか」が曖昧だったのが気になりました。それはキャプテンを務める長谷部が不在だったのもありますし、吉田が出場せず、長友が前半で退いたハイチ戦で強く感じたところでした。
プレーの面で言えば、小林祐希は試合のリズムを作ろうとボールを欲しがって積極的に顔を出していた。だからこそチーム全体に対して“こう戦おうよ”と発信するなど、もっと主張してもよかったのかなと思います。
ハイチ戦で先発した遠藤航も縦パスを入れようとしていましたが、チームに合わせる事を優先しすぎて、気を使い過ぎてる印象が強かったです。これは全体的な守備の問題でもあるんですが、遠藤が引き出されてピンチを迎える場面がありました。