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ハミルトンvs.ベッテルと鈴鹿愛。
「まるで神の手で作られたような」
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2017/10/05 08:00
マレーシアGPでは2位のハミルトンだが、今のメルセデスチームの強さは過去3年ほど盤石ではない。
両者ともタイトルレースはまだ続くと意気込む。
しかも、マレーシアGPで優勝したのはレッドブルの若武者、マックス・フェルスタッペンだ。メルセデスはフェラーリだけでなく、調子を上げてきたレッドブルも警戒しなければならなくなった。
ハミルトンは言う。
「僕たちはシンガポールに続いて、マレーシアでも失速した。シンガポールではコースレイアウトにてこずり、マレーシアではタイヤの使い方に手を焼いた。いま僕たちはこれまで経験したことがないような困難な状況に直面している。34点差あるけど、残りはまだ5レースもある。タイトルを獲得するまで、手を抜いてはならない」
日本GP直前の2戦で、いずれも不運に思える結果に終わったベッテルも、タイトルを諦めていない。
「僕は、この2戦で起きたことを不運だとは思っていない。問題が起きたのには必ず理由がある。それを分析し、再発しないように努めなければならない。そして、前を向いて進むこと。僕たちにはペースがある。タイトルをあきらめるのはまだ早い。必ず巻き返してみせる」
「鈴鹿はアイルトンが愛していた場所」だから。
ハミルトンとベッテル――2人が今年の鈴鹿にとりわけ熱い闘志を燃やす理由は、日本GPがタイトルを争ううえで重要な一戦となるからだけではない。鈴鹿が2人にとって、特別な場所だからである。
「鈴鹿は僕のヒーローであるアイルトンが愛していた場所。彼が鈴鹿を走った映像は何度も見たよ。初めて鈴鹿に来たとき、'89年にアイルトンと(アラン・)プロストが接触したシケインに行って、『いま僕はあの場所に立っている』って興奮したことを覚えている」(ハミルトン)