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ハミルトンvs.ベッテルと鈴鹿愛。
「まるで神の手で作られたような」

posted2017/10/05 08:00

 
ハミルトンvs.ベッテルと鈴鹿愛。「まるで神の手で作られたような」<Number Web> photograph by Getty Images

マレーシアGPでは2位のハミルトンだが、今のメルセデスチームの強さは過去3年ほど盤石ではない。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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「鈴鹿では、近年稀に見る激戦が展開されるだろう」

 10月1日に行われたマレーシアGP、ルイス・ハミルトンが2位を獲得したメルセデスの上級エンジニアは、そう言った。今週末、鈴鹿で開催される日本GPが昨年よりも厳しい戦いになると予想しているのだ。

 エンジンに関するレギュレーションが大きく変更された2014年以降、日本GPを席巻してきたのは、王者メルセデスだった。'14年と'15年はハミルトンが、昨年はチームメートだったニコ・ロズベルグがここで勝利し、王座に大きく近づいた。

 ところが今年、車体に関するレギュレーションが変更されると、メルセデス1強体制だった勢力図が変わった。開幕戦はフェラーリのセバスチャン・ベッテルが勝利。その後、ベッテルは第12戦ベルギーGPまでランキングトップを維持した。そのベッテルを首位の座から引きずり下ろしたのが、ハミルトンだ。

ハミルトンと34点差のベッテルは一見厳しそうだが。

 第7戦カナダGPでアイルトン・セナが持つ65回のポールポジション(PP)記録に並んだハミルトンは、ベルギーGPでミハエル・シューマッハーの68回に並び、イタリアGPでついに単独歴代最多となる69回目のPPを獲得。レースも制して、ランキングでも首位に立った。

 その後、ハミルトンはシンガポールGPで優勝し、マレーシアGPでも2位を獲得。タイトル争いはハミルトン281点、ベッテル247点という状況で日本GPを迎えることとなった。

 今年、ただ1人全戦でポイントを獲得しているハミルトンの安定感を考えると、34点差はベッテルにとって数字以上に大きなギャップに思える。

 だが内容に目を向けると、この2戦、フェラーリは不運続きだった。シンガポールGPではレーススタート直後にフェラーリの2台が事故を起こして自滅。マレーシアGPではパワーユニットに相次いでトラブルが発生。つまり、この34点差は現在の実力を正しく反映したものではない。メルセデスのスタッフが「日本GPが激戦になる」と慎重な姿勢を見せているのは、そのためだ。

【次ページ】 両者ともタイトルレースはまだ続くと意気込む。

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