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オーストラリア代表、なぜ弱体化?
移民、育成制度、リーグの堕落……。 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/20 11:00

オーストラリア代表、なぜ弱体化?移民、育成制度、リーグの堕落……。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ワールドカップの予選、本大会を通して初めてオーストラリア代表に勝ったハリルジャパン。その評価が揺らぐことはないのだが……。

日本がモデルにした程の国主導の育成システムが……。

「もうひとつが育成そのものがうまくいかなくなったことです。『AIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)』がうまく機能しなくなった。AISというのは、日本でいうところのJFAアカデミーです。ビドゥーカとか(ブレット)エマートンとか(ジョン)アロイージとか、代表の主力となった選手の多くがここの出身だったんです」

――たしかに'90年代の育成は、日本がモデルにするほどに優れていた。

「みんなAISなんです。そこにトップクラスの選手が集まっていたのが、サッカーに関しては今はなくなってしまった。

 いちおう去年までは(AISとしての活動が)あったけれども、ほとんど形骸化していました。トップの選手より、そのひとつ下のランクの選手が集まるようになっていた。恐らく今のJFAアカデミーもそんな感じなのではないでしょうか」

――アカデミーの男子はあまり機能していない。Jリーグにほとんど選手を送り込んでいないから。日本では一番いい子はJクラブに行って、その次の子たちは高校のトップに行く。

「まさにオーストラリアでも同じことが起こっていて、トップの子たちがAISに行かなくなった。

 キャンベラという、誰も行きたくない場所にあることもあって……周りに遊ぶところが何もないところで、そういう環境に今の15歳の子たちは行きたがらない。だからベストの選手が育てられない。そこにはいい監督(指導者)がいるのにマッチングしないんです」

今のオーストラリアのユース世代は酷すぎる。

――子供たちがサッカーよりも他のスポーツを選んでいるわけでもない?

「システムが機能していない。JFAアカデミーがちゃんとできていないように、育成がしっかり出来なくなったのと……」

――でも日本だったらJのクラブがやっているし、高校もそれなりにはやっている。

「そうですね。オーストラリアを見る限り、以前に比べると選手の質が凄く低いです。

 例えば先日U-15の試合を見に行きました。日本でいうとFC東京対柏レイソルのユース世代のような試合です。日本だと『ああうまいな、さすがにクラブのユースだけのことはあるな』という感じですが、オーストラリアの同じ年代はとてもレベルが低い。低すぎます。ちょっと上手ければすぐに代表に入れてしまうぐらいです」

【次ページ】 豪州U-17代表監督も嘆く、若い世代のレベル低下。

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