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最終予選、起用選手数が歴代最多!
人選こそハリル最大の戦術である。 

text by

茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/05 11:15

最終予選、起用選手数が歴代最多!人選こそハリル最大の戦術である。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

オーストラリア戦での勝利後、記念撮影に収まる日本代表。ハリルホジッチ監督率いるチームには、今後も新たな招集メンバーが現れるのか。

一番起用した選手が多いのは、やっぱりハリル体制。

<2018年ロシアW杯最終予選:30人>
※ヴァイッド・ハリルホジッチ監督/9試合6勝2分け1敗、グループ1位通過
GK:西川周作、川島永嗣
DF:森重真人、酒井宏樹、酒井高徳、吉田麻也、槙野智章、丸山祐市、長友佑都、昌子源
MF:大島僚太、香川真司、清武弘嗣、長谷部誠、山口蛍、柏木陽介、今野泰幸、倉田秋、井手口陽介、遠藤航
FW:本田圭佑、岡崎慎司、原口元気、宇佐美貴史、浅野拓磨、小林悠、武藤嘉紀、久保裕也、大迫勇也、乾貴士

 他の予選と比べて数試合多いとはいえ、予想通り最も多い選手数となった。ちなみに招集された選手まで範囲を広げると44人に及ぶ。アウェーでのサウジアラビア戦でまだ出場のない中村航輔、東口順昭、植田直通、三浦弦太、高萩洋次郎、柴崎岳、小林祐希、杉本健勇に出番が与えられれば、起用人数はさらに増える。

「ボランチ原口」などの試行錯誤を経て。

 そしてメンバーを見ると、ドラスティックな“世代交代”にこだわったわけではないのが分かる。ハリルホジッチ監督は就任当初、「これまで日本のために貢献してくれた」と遠藤保仁の代表招集を見送ったことで注目された。その一方で今回の最終予選では、アウェーのUAE戦で川島を正GKに戻し、今野をインサイドハーフで起用。2人の奮闘で2-0の勝利を手にした。またホームでのサウジアラビア戦では本田、香川、岡崎の3人を途中出場で投入していたりもする。

 また調子がいい選手であれば本来のポジションとは違う形で使う、というケースもあった。その例が2列目を主戦場とする原口だ。ハリルホジッチ監督は運動量を買って、2次予選でボランチやサイドバックで起用したこともある。ただ招集し続けることで本来の持ち味であるドリブルの破壊力に気づいたのか、原口を2列目に戻すと最終予選で日本史上初となる4試合連続ゴールを挙げた。

 チームのベースを作ったうえで選手のコンディション、対戦相手を見極めて戦略を固め、状況に応じて選手をチョイスしていく。原口のボランチなどハマらなかったケースもあるが、最終的には冒頭に挙げた井手口や浅野の大活躍を呼び込む結果になった。

 つまり、ハリル最大の戦術は人選である、ということなのだろう。

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