酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園勝利数・日本地図を大公開。
王国は大阪と兵庫、豪雪地帯は……。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2017/09/01 07:00
各都道府県の春・夏合わせた勝利数の日本地図。それぞれの勝利数が、甲子園の歴史を築き上げてきた。
200勝台は東京、愛知に広島、それと……。
続いて東京都と愛知県が290勝台で続く。東京のレベルは高いが、1974年から東西2地区になって2校が選出されるようになったのが大きい。66勝の早実、51勝の帝京、49勝の日大三が御三家である。
愛知県は何と言っても中京大中京の存在が大きい。今夏は初戦で広陵に敗れたが、愛知県295勝のうち4割を超す133勝を挙げている。次いでは東邦の70勝だ。
上位4都府県は日本経済の中心地で人口も多い。経済力と野球のレベルはリンクしていると言えるだろう。
続いて200勝以上を挙げている県はというと……和歌山県と広島県である。
和歌山は政令指定都市のない都道府県では唯一の200勝以上を挙げている。特に目立つのは今夏も出場した智弁和歌山の57勝、古豪・桐蔭(旧制和歌山中)の45勝、逆転勝利で甲子園を沸かせた箕島の37勝。智弁和歌山の高嶋仁、箕島の故・尾藤公と一世を風靡した名監督を生んでいる。
広島は戦前から野球王国と言われた。特に戦前の呉市は「野球市」と言われ市内に100以上もの社会人チームがあったという。今夏準優勝の広陵が71勝、広島商が62勝。両校は今も定期戦をするなど宿命のライバルだ。
野球どころ四国で勝利数が多いのは愛媛と高知。
150勝以上は神奈川県、京都府、愛媛県、高知県となっている。
神奈川は松坂大輔、筒香嘉智を輩出した横浜が56勝だが、今夏は1回戦で敗退した。これに続くのが東海大相模の38勝である。
強豪という印象はあまりない京都だが、勝利数歴代2位の龍谷大平安が99勝と半数以上を稼いでいる。
野球どころ四国からは愛媛と高知が目立っている。もともとこの地域は公立校が強く、松山商は歴代勝利数5位の80勝、高知商も59勝を挙げている。今は愛媛・済美、高知・明徳義塾と私学が台頭している。
100~149勝には福岡県、静岡県、徳島県、岐阜県、奈良県、千葉県、香川県、北海道、埼玉県、山口県、岡山県、熊本県、群馬県が並ぶ。
それぞれの県に一世を風靡した学校がある。例えば埼玉は今年、花咲徳栄が優勝して6勝を加算した。
北海道は1960年から南北2地区に分かれている。以後は2代表で稼いだ勝ち星である。