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内川離脱を埋める大砲は……いた!
二軍でもがく吉村裕基にチャンスを。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2017/08/02 07:00
昨季は78試合に出場し打率.209、5本塁打、28打点。33歳となった今季は、進退をかけて打席に立つ。
二軍でも打率2割6分1厘、3本塁打、18打点だが。
7月28日、ファーム本拠地のタマホームスタジアム筑後へ足を運んだ。
この日はウエスタン・リーグのカープ戦。吉村は「3番・一塁」でスタメン出場していた。5打数1安打だったが、唯一のヒットが追撃のタイムリーとなり、チームはその後逆転勝ちを収めた。ここ一番での勝負強さは健在だった。
だが、2軍でも突出した成績を残せているわけではない。この日がチーム77試合目だったが、40試合出場、打率2割6分1厘、3本塁打、18打点の数字である。
藤井康雄二軍打撃コーチは「チーム事情もある。ファームは色々な選手を試したり、経験を積ませたりする場なので毎試合出場というわけにもいかない」と説明した。
ただ、藤井コーチは昨年は1軍を担当し、ホークス移籍当初から吉村をよく知る人物でもある。「打撃の状態は決して悪くない。試合にずっと出られないことなどもあって、数字はついてこない部分もあるけど、内容は悪くないと思っている」とも語っている。
内川は「僕が頑張れたのはヨシがいたから」と話す。
当の本人は今、何を思うのか。
「たしかに僕としても打撃の状態は悪くないと思っています。だけど、もう8月を迎えますし、一軍も二軍も残り試合数は減っていく一方なのでね。僕自身そんなにチャンスは多くないと思っていますが、しっかり準備をして臨むだけです」
もう少し細かい話まで聞きたかったが、話を遮るようにロッカールームへと戻ってしまった。焦りやもどかしさは当然感じているはず。今、メディアとゆっくり話をする気分になれないのも承知の上で、こちらも声をかけたので引き止めることはしなかった。
吉村の打撃技術の高さに関しては誰もが認めるところ。内川もその1人だ。
「僕は2つ年上で先にベイスターズに入団していましたが、最初はとんでもない打者が入ってきたなと思いました。とにかく飛ばす。そして、同じ高卒入団なのに僕より早く一軍に上がった時期もあった。あの時は本当に悔しかった。僕が頑張れたのもヨシ(吉村)がいたことが大きかった」