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ノーザンライト前文科大臣・馳浩。
11年ぶりのリング復帰に思うこと。
posted2017/07/28 11:30
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「眠る時間を毎日1時間減らしてトレーニングしてきました。政治の時間は削っていません」
元プロレスラーで、前文科大臣で、衆議院議員の馳浩は、7月26日の後楽園ホールのリングで、引退以来11年ぶりに戦って見せた。
馳も56歳になった。
だが、56歳という年齢には見えない体に仕上げて満員の後楽園ホールのファンの声援に応えた。
“達人たちのプロレス”として昨年から武藤敬司が始めた「プロレスリング・マスターズ」ゆえの決断でもあった。
武藤から「大臣になったら戻って来るという約束を守ってくれ」というオファーを受けて、「復帰」を決意したのだ。
議員生活も、今年で23年目になる。
馳の美学として、一夜だけとはいえリングに上がるからにはちゃんと戦える体を作る……というものがあった。
近年は政治に専念していて、東京と地元・金沢を往復する日々。北陸新幹線の開通によって、移動は以前よりだいぶ楽になったが、それは政治家として自分に課した厳しい日課のようなものだ。議員生活も今年で23年目になる。
ただでさえ時間のない環境の中で、2月から約半年、睡眠時間を1時間ずつ削って、体を鍛えた。削れる時間は睡眠しかなかったからだ。
「いい体をしているな」そう思える体に仕上がった。どんなに鍛えても、よく見れば年齢からくる衰えは隠せない。それでも、本業ではないプロレスのための体作りの努力は敬服に値する。