マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
源田壮亮は即戦力だとあれほど……。
開幕前にうなだれていた時の思い出。
posted2017/06/02 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
2016年のドラフト会議はすごかった。
創価大・田中正義(ソフトバンク1位)、明治大・柳裕也(中日1位)に、履正社高・寺島成輝(ヤクルト1位)、作新学院・今井達也(西武1位)、横浜高・藤平尚真(楽天1位)……。
1位候補の剛腕、快腕がゴロゴロ居並び、野手だって、中京学院大・吉川尚輝(巨人1位)に日本大・京田陽太(中日2位)。華麗さと堅実さ、それぞれ個性の異なるフィールディングと快足を武器にする遊撃手がいて、ここまで人材濃厚な年は珍しいほどのドラフトだった。
ドラフト前、即戦力間違いなしと推していたが……。
そんな中で、さあ今年はどんなメンバーが名前を読み上げられるんだ! と“予想”を頼まれた時、必ず挙げていた名前があった。
トヨタ自動車・遊撃手・源田壮亮。
「今年は将来性を期待できる選手、即戦力を期待できる選手、どちらも何人もいますけど、その中で、即戦力間違いなしといえるのは、このショートですね」
“内野手”なんて、あいまいな言い方はしなかった。間違いなく、遊撃手として勝負できるフィールディング技術。ベースランニングだって、すでにもう十分プロのレベルに達していた。
「ショートとしての守備力は、今の段階ですでにプロのトップレベルですね」
トップレベルだと思います……そんなあいまいな言い方もせず、トップレベルと言い切ったのに、いつも聞き手の方にポカンとされてしまった。
そうは言っても、やっぱり京田、吉川でしょ……。
新聞の活字の大きいほうに話を逸らされてしまうこともあって、私は“イチ押し・源田壮亮”のことをじっくり話す機会もなくドラフトを迎えることになった。
事前の新聞報道の通り、1位で吉川尚輝、2位で京田陽太が指名された後の西武・3位。
前評判からすれば順当な位置なのかもしれないが、こんなもんじゃないよ……、私の中にはずっと“欠乏感”のようなものがフツフツとしていたものだ。