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窮地に燃える錦織圭が戻ってきた!
急きょ参戦ジュネーブでの手応え。
posted2017/05/26 11:45
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
AFLO
錦織圭がジュネーブオープンで順当に4強入りした。
クレーコートで十分な試合数をこなせていないことから、急きょ参戦を決めた。右手首の痛みでバルセロナを欠場し、マドリード、ローマの2大会でも計4試合しかしていない。昨年はバルセロナ準優勝、マドリード、ローマが4強だから、四大大会の全仏オープンに向けて物足りなさが残るのだろう。
四大大会開幕前週での公式戦出場は異例のスケジュールだ。2週間の長丁場、優勝までに5セットマッチ7試合を戦うための体力温存を考慮し、そのため前週は調整に充てるのが通例だった。今回の参戦は、少し大げさに言えば危険な賭けである。
ただ、この春以降の低空飛行と、もやもやした試合内容を考えれば、ここで大会数を増やすという積極的な選択は、気力と自信が戻ってきた証拠とも読み取れる。
マドリードのフェレール戦、ローマのデルポトロ戦など、徐々に攻撃的なプレーも増え、復調まであと一歩のところまで戻っているのは確か。ジュネーブ参戦は、試合数をこなしていないのが不安だからというよりも、いい感触をより確かなものにしようという、意欲的で前向きな選択だったはずだ。
元トップ10、アンダーソンに押され気味の展開。
初戦のククシキンとの2回戦も、及第点をクリアする内容だった。ショットの精度はまだまだだが、コートで躍動する姿を久しぶりに見たというのが率直な印象だ。春先のおとなしさ、エネルギー量が足りていないような姿とは対照的だった。
続く準々決勝はアンダーソンとの顔合わせとなった。故障が相次ぎ、62位までランキングを落としているとはいえ、アンダーソンは元トップ10選手である。クレーコートシーズンに入り、実力者のフェレール、ガスケを破るなど復調ぶりは顕著だ。
立ち上がりから、アンダーソンの攻撃には迫力があった。全仏のクレーに比べ、この大会のコートはよくボールが弾む。203センチから打ち下ろすサーブは攻略が難しく、高い打点から打ち込まれるストロークに錦織は押され気味だった。