沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
世代がハイレベルだと新星は出ない。
オークスは桜花賞上位勢の3強状態。
posted2017/05/20 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
NHKマイルカップのワンツーフィニッシュで、レベルの高さをあらためて証明した今年の3歳牝馬たち。その頂点を決める第78回オークス(5月21日、東京芝2400m、3歳牝馬GI)が、まもなくスタートする。
一番のポイントは、昨年3戦3勝で阪神ジュベナイルフィリーズを制し、2歳女王となったソウルスターリング(父フランケル、美浦・藤沢和雄厩舎)が、前走の桜花賞で3着に敗れた雪辱を果たすかどうかだ。
桜花賞で単勝1.4倍の圧倒的な支持に応えられなかったのは、重くてやわらかい馬場に適応できなかったことと、短期間のうちに3度目の関西遠征となって、見えない疲れが溜まっていたことだと思われる。
今回は予報によると好天が見込まれ、馬場悪化の心配はないし、ホームと言える東京開催である。桜花賞で力を削いだ要素は省いて評価できる。となると、あとは力関係と、2400mへの適性がどうか、だ。
距離適性より純粋な強さが重要な時期。
力関係は、もともとハイレベルな世代を代表する存在だったわけだし、2400mに関しても、藤沢調教師が「この時期に長距離を上手に走れる3歳牝馬はいない。本当のスタミナ勝負にはならない」と話しているように、距離適性が表に出てくる前の段階での戦いなので、あまり気にする必要はない。強さの順にゴールする、と考えるべきだろう。
鞍上のクリストフ・ルメールは、先週ヴィクリアマイル優勝を含めJRAタイ記録の1日9連対をやってのけるなど絶好調だ。彼が、母スタセリタでフランスオークスを制したのが2009年。8年後、娘の背で日仏オークス制覇を果たして涙する――というシーンは充分にあり得る。
前評判どおりに決まる、ということも、その馬自身や、その馬が出たレースに対する信頼感につながる。この馬が勝つか、勝てないにしても、強さを見せつけることにより、世代の評価を高いまま保つことができる。人間が一方的に押しつけた理屈ではあるが、それに応えるだけのポテンシャルを持った馬であることは間違いない。