野球のぼせもんBACK NUMBER
女性観客が8割の「タカガールデー」。
意義あるイベント、NPBは球団任せ。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/05/17 07:00
スポーツ界での社会貢献活動は一般的になってきているからこそ、統括する組織にはそれを取りまとめる能力が期待される。
ヤフオクドームの来場者は、普段でも女性が半分。
この仕掛人となった現・球団取締役の吉武隆氏へ以前インタビューをしたことがある。当時についてこのように語っていた。
「プロ野球人気の衰退や“野球よりもサッカー”などと言われて久しい中、われわれも特に若い世代の野球離れについて危機感を覚えていました。そもそも野球は、ルールの難しいスポーツですし、『男性のもの』という概念が強かった。でも、果たしてそうなのか。私は、プロ野球もひとつの興行であり、エンターテインメントとしてあるべきだと考えていました」
敢えて、野球と最も縁遠いと考えられた女子高生とプロ野球をコラボレーションすることで、話題になるという狙いがあった。結果、これが大当たり。流行発信基地にもなる若い女性に受け入れられたことで、このイベントは毎年進化を果たすことになった。
また、「継続は力なり」だ。女子高生デーを始めた当時の彼女たちは、今は母となり、子どもたちを連れて球場へ足を運ぶようになった。もちろんおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に観戦というケースも多い。
「ヤフオクドームの来場者は、普段でも女性が半分ほどを占めています。しかも10代から60代までほぼ均一。私どもとしても理想に近いかたちとなっています」(吉武氏)
タカガールデーでベースがピンク色になっている意味。
さて、話をタカガールデーに戻そう。
実は、ここからが本稿の大きなテーマである。
このタカガールデー当日は、スタンドは大多数の女性ファンでピンク色に染まるのだが、グラウンドでもピンク色が存在感を際立たせていた。
一塁、二塁、三塁の各ベースがピンク色に装飾され、ネクストバッターズサークルも同じくピンク色に染められた特別仕様となっていた。
これは単に女性ファンに喜んでもらうための仕掛けではない。
大切なメッセージが込められているのだ。