イチ流に触れてBACK NUMBER
「イチローのプレーには気品がある」
監督大絶賛も……第4外野手の苦悩が。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2017/05/16 11:00
MLBのプレー解析システム「スタットキャスト」が、イチローのファインプレーを「5つ星」判定!
審判も欺くイチローの“忍者走塁”。
一塁手のタッチを掻い潜るようにスライディングし、左手でベースタッチ。しなやかな体の動きでスリーフィートオーバーを防ぐ身のこなしは、とても43歳のものには見えなかった。
一塁手は必死にヘルメットにタッチに行ったが、判定はセーフ。
ビデオ判定の末にアウトに覆ったが、一度はセーフと判定させた忍者走塁はまさにイチローならではのもの。本人もこのプレーには満足げだった。
「(タッチは)されていますけど、(タッチされた)ヘルメットが動いていなかったんで、(判定を)変えるのは難しいだろうなと思ったけどねぇ」
イチローの美技は「5つ星キャッチ」と分析された。
そして、締めくくりが守備。
4点リードの9回2死一塁。打者は右のスーザ・ジュニア。あらかじめ右中間寄りに守っていたイチローに対し一塁後方へ飛球は上がった。
スタートよくダッシュし最後はスライディングキャッチの好捕でゲームセット。イチローもギリギリのプレーであったことを明かした。
「(グラブに)入ってくれれば、という感じです。僕が声を出したんで(二塁手は)どいてくれると信じていきました」
メジャー公式サイトご自慢の解析システム「スタットキャスト」では、最初の守備位置から捕球できる確率は21%と分析した。
その上で「5つ星キャッチ」と最大級の評価で超美技を称えた。
何を基準に21%の捕球確率なのかは不明だが、このスーパープレーに驚きを隠さなかったのは、今季から同僚となった田澤純一だった。
ほぼ正面となる三塁側ブルペンから見守った右腕は「あの飛球を捕れる外野手はイチローさんしかいない」と感嘆し、更に続けた。