イチ流に触れてBACK NUMBER
「イチローのプレーには気品がある」
監督大絶賛も……第4外野手の苦悩が。
posted2017/05/16 11:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Kyodo News
47打席で45打数8安打、打率.178。
35試合(5月13日終了)を消化した時点でのイチローの成績である。この間、先発出場は5試合。1試合平均の打席数は、今のところわずかに1.34しかない。
打線の中軸を担うクリスチャン・イエリチ、ジャンカルロ・スタントン、マルーセル・オズナのレギュラー外野陣は平均年齢26歳の若さ。故障もなければ極端な成績不振者もいない現状では、1日1打席の仕事が多くなっても仕方のないところだ。
昨季の同時期と比較しても、先発出場7試合、49打席で44打数13安打、打率.295。打率に大きな差があるのは気になるが、出場機会はほぼ同じである。
今更ではあるが、第4の外野手は忍耐力が求められる仕事であるとつくづくと強く感じる。
それでも、ひとたび先発出場を果たせば際立つ存在感を発揮している。
引っ掛けたゴロでも、見せ場に変えてしまう!?
5月3日のレイズ戦との交流戦。
「9番・右翼」で11試合ぶりに先発出場したイチローは走攻守に於いて、まるで水を得た魚のようだった。
打撃では2点を追う6回無死一、二塁。打者としては右方向へ安打を放つことがベストケース。
逆に投手はそうはさせまいと配球する。
カウント2-1から外角に沈んでいく91マイル(約146キロ)のシンカーに対し、イチローはバットヘッドを立てながら巻き込むように右前へと運んだ。
まさに技ありの一打。満塁へと好機を広げ、この回一挙5点の逆転劇へと繋げた仕事は見事と言えた。
走塁では7回だった。84マイル(約135キロ)のスライダーを引っ掛け一ゴロとなったが、ここからが見せ場となった。