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いざワールドマスターズゲームズへ。
杉村太蔵の新たなる挑戦。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/04/25 11:00
高校時代の1997年に開催されたなみはや国体で優勝もしている杉村氏。特にそのサーブに関しては、プロレベルにあったと言われている。
プロテニスコーチ「いまだにすごく上手いですよ」
この日の練習相手は学生時代からのライバルで、現在はプロテニスコーチをしているという堀大器さん。
堀さん曰く「昔からプレースタイルが変わらなくて、とにかく前に出て後ろに引かない、攻撃型の守り下手(笑)。日本人にしては身長があるので、昔は球が後ろに抜けなくて……とにかく強かったですね。普段から一緒に練習しているんですけど、3カ月ぶりの練習なんだよ、っていうときでも、急に“ガチの試合形式でやろう”とか言い出したり。いまだにすごく上手いですよ」
練習はベースラインでゆっくりとしたストロークからスタート。10分ほど絶え間なくストローク練習が続いたところで、すでに汗だくの杉村だが、そのままサービスラインまで前進するとボレー練習へ。
「元々ダラダラと練習はしないタイプなんです。座ると立てなくなっちゃうんで(笑)」と水分補給の小休止を挟むと、そのままサービス練習のためコートに戻る。
「最後までやり続けたほうが勝ちだと思っている」
杉村が自身の生命線というサービスは、170km台後半のスピードと鋭い弾道で、堀さんも手が出ないほど。サーブで流れを引き寄せてゲームをつくるというのが、杉村の戦略だ。
最後は1セットの試合形式で練習と、ほぼ休みなく約45分の練習を終了。
傍目にはハードな練習に見えるが、杉村のなかではセーブしている部分もあるという。
「あと一歩、というところはあえて追わない。昔の動きも忘れてるし、この年になると走り過ぎるとすぐケガをしますから(笑)。試合の勝ち負けよりも、僕はスポーツって最後までやり続けたほうが勝ちだと思ってるんです。だから無理はしない。ここでケガして試合に出られなくなったら大変ですから」