プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「次も行くぞ!」「勘弁してください」
WBCで化けた千賀滉大の精神力。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/04/13 17:30
今季初勝利の直後、工藤監督と握手をかわした千賀。WBCが投手としての千賀を一回り大きく成長させたのは間違いない。
工藤監督「この前とは違う集中力があった」
「彼が自信を持ってマウンドに歩いていけるようになれば、本当のエースになるときですよ。その自信を手に入れるために、ここ(WBC)での経験というのが貴重なんです。あれほど荒れていたボールも、ストライクが入るようになった。最後は目つきも変わってきた」
権藤コーチはこう語って千賀をソフトバンクに帰還させた。
そうして楽天戦で打ち込まれてからの1週間、千賀はWBCでの感覚を思い出すことに集中した。
「この前とは違う集中力があった」
2度目の登板の変化を工藤公康監督はこう評した。
そうして千賀も確かにこの試合で、WBCで見た景色を思い出していたのである。
「マウンドから捕手まではいつも通りだけど、入り込んでいるのに落ち着いているというか、周りがどうなっているのか見られる。いままでとは違う感じです」
それはまさにエースの見る景色でもあった。