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「嫌われる勇気」の著者が驚いた
エディー・ジョーンズの人間理解。 

text by

古賀史健

古賀史健Fumitake Koga

PROFILE

photograph byTomoki Momozono

posted2017/04/13 07:00

「嫌われる勇気」の著者が驚いたエディー・ジョーンズの人間理解。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

アドラー心理学に触れたことはないというエディー・ジョーンズ氏だが、その指導哲学は『嫌われる勇気』のお手本のようだった。

アドラーとエディーが辿りついた人間理解の真理。

 1999年にアドラー心理学に出会って以来、私はずっと「一度でいいからアドラーと会ってみたかった」と思い続けてきた。その著書や言行録、評伝などから伝わってくる人物像は、どこまでも温和で、ユーモアにあふれながら、ときに厳しい。話すことが大好きで、誰とでも分け隔てなく語り合う。

 エディー・ジョーンズとの対話が進む中、ずっと頭から離れなかったのは「きっとアドラーと語り合ったら、こうなっていたのではないか」との思いだ。決してハードワークを課すだけの指導者ではない。選手たちと対話を重ね、それぞれの長所を見抜き、自由と規律を与え、選手の勇気を問いかける。

 詳細は本誌に譲るが、エディー・ジョーンズの語る指導哲学は、あまりにもアドラー的なものだった。何度となく「アドラーも、あなたとまったく同じことを言っています」と驚く私に対し、当然だとばかりに頷く指揮官。なぜなら、それは人間理解の真理なのだから。彼との対話は、私にとっても大きな気づきと勇気を与えられるものだった。

「臆病は伝染する。そして勇気もまた、伝染する」

 アドラーはこんな言葉を残している。「臆病は伝染する。そして勇気もまた、伝染する」と。昨年の夏、あの甲子園特集号で松井編集長が示した勇気。その勇気が伝染していった結果、今号「スポーツ 嫌われる勇気」特集は生まれた。アドラーが語り、トップアスリートたちが実践する勇気とは、どんなものなのか。ぜひ本誌誌面でご確認いただきたい。

 また、エディー・ジョーンズさんの取材にあたっては、通訳を担当してくださった現地在住ジャーナリストの竹鼻智さん、同じくカメラマンの桃園丈生さんに大変お世話になりました。この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。

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