日々是バスケBACK NUMBER
ついに日本人がNCAAの決勝まで――。
バスケット選手・八村塁の可能性。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2017/04/05 17:00
“ファイナル4”進出を決めた試合の終了後、恒例行事のネットカット(ゴールネットを切って記念品とすること)をした八村。
今季は、八村にとっては準備期間だったのだが……。
八村にとって、今年は来年以降に向けての準備期間だった。
出場時間が少ないとわかっていても、メンバー登録されることにこだわったのは、試合に出るかもしれないという緊迫感をもってシーズンを送りたかったからだ。
コーチたちも、そんな八村の希望を受け入れ、勝負が決まった後の、最後の数分に起用することで八村の成長を助けてきた。
そんな八村にとって、3月23日、トーナメント3回戦(ベスト16の戦いという意味で通称“スイート16”)で、思わぬチャンスが巡ってきた。
対戦相手のウェストバージニア大は、オールコートでのプレッシャー・ディフェンスを武器とするチームだった。コーチたちは、八村のサイズと運動能力なら、プレス突破、速攻の得点につながるのではないかと考えた。そのため、今シーズン初めて八村を、勝つための戦力として前半から試合に送り込んだ。
前半半ば、ゴンザガ3点リードの場面で八村はコートに立った。
初めてのNCAAトーナメントで、八村は活躍できたのか?
そして見事期待された通りの活躍を……という理想的な展開にはならなかった。
コートに立った八村は、雰囲気に呑まれたのか、あるいはミスを恐れたのか、自分らしさを出せず、ボールに触る機会すらほとんどなかった。
4分の出場時間でリバウンド1本、ファウル2回。
後半は出番も回ってこなかった。
試合前の数日間の練習で、繰り返しプレス・ディフェンスに対する攻撃を練習していたのだが、その成果を見せることができなかった。
「思い切りの部分がなかった。もっとボールを要求するということも大事だったかなと思います」
試合後、八村はそう反省の弁を口にした。