日々是バスケBACK NUMBER
ついに日本人がNCAAの決勝まで――。
バスケット選手・八村塁の可能性。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2017/04/05 17:00
“ファイナル4”進出を決めた試合の終了後、恒例行事のネットカット(ゴールネットを切って記念品とすること)をした八村。
「私たちは彼が裏で見せている成長に満足している」
アシスタント・コーチのトミー・ロイドは、「試合にあまり出ていないと、集中して、準備をするのは難しい。彼が悪いわけではない。私たちは彼が裏で見せている成長に満足している」と、練習の成果を大舞台で出せなかった八村をかばった。
幸いチームは勝利をおさめ、次のエリート8のゼイビア大戦に駒を進めた。
そのゼイビア戦、勝利が決定的になった最後の1分で、八村はまたコートに立った。
試合に出てすぐにパスを受け、ラインから少し下がった位置から3Pシュートを放ち、見事に決めた。
傍から見れば勝敗には関係ない、何ということもないシュートだったかもしれないが、八村にとってはNCAAトーナメント初得点。
そして、練習の成果でもあった。
3Pシュートはこの2カ月、コーチから指示され練習してきたことのひとつだったのだ。
NCAAトーナメントでは2試合の計6分だったが……。
「試合終盤に出て、体もすごく固くて、何もできないかなと思っていたらパスが来て、(ショットクロック切れる直前で)シュートを打たなければならなかったので打ったら入ったという感じです」
試合後に、八村はそう言うと、嬉しそうに笑った。
「スリーポイントはずっと練習していました。(決められて)良かったです」
結局、ゴンザガが戦ったNCAAトーナメント6試合のうち、八村が出場したのはこの2試合を含めて3試合、計6分だった。
実際の出番こそ少なかったが、いつ試合に出るかわからない緊張感の中で、大舞台を経験したことは貴重な経験だった。