オリンピックへの道BACK NUMBER
平昌五輪の3枠確保が瀬戸際だが……。
三原、樋口、本郷は自分自身の滑りを。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2017/03/28 08:00
急遽の出場となった本郷理華だが、世界選手権は3回目。五輪の3枠確保に期待がかかる。
選手がまずは自らのために滑ること。
ただし、試合は大会前のランキングで決まるわけではない。
たしかに、三原、樋口は経験の浅い選手かもしれない。それでも、三原が病と向き合いつつ全日本選手権の厳しい勝負の中で代表をつかみ、プレ五輪大会でもあった四大陸選手権で最高の演技をしたのも事実だ。
樋口は四大陸選手権でミスが相次ぎ、9位に終わった。右足甲に痛みを抱えての試合だった。万全な状態で臨めれば、もともとの持ち味であるスピード、迫力のあるジャンプなどで世界に立ち向かうことができる。
何よりも、四大陸選手権での言葉、「(今回は)何も残せていません。世界選手権へ向けてしっかりやりたいと思います」に込められていた悔しさを晴らしたいはずだ。今シーズンが不本意な形で推移した本郷にとっても、リベンジの場となる。
プレッシャーは海外の選手も含め誰にでもかかる。緊張しないわけはない。そのもとで、どこまで力を出せるか、それを乗り越えて今シーズンのベストな演技をできるかは選手次第だ。
だから何より大切なのは、選手がまずは自らのために滑ることではないかと思う。
黙っていても、宮原がいないことでプレッシャーは重くのしかかってくる。枠を取る責任に無自覚な選手ではないからこそ、後押しする態勢を整えられるかが重要となる。
欠場した宮原は、さぞ無念であろう。
出場する3人とともに、欠場をよぎなくされた宮原を思う。
今年の1月のインタビューで印象的だったのは「氷に乗りたくないと思った日は、1日もない」という言葉を、きっぱりと言ったことだった。
練習熱心であること、ひたむきな努力を重ねてきたことは、周囲の誰もが認める。年長の人たちも含め、敬意を抱いている。
それほどまでにスケートに情熱を傾けてきた宮原が、一時的とは言え氷上を離れざるを得なくなった。無念だろう。