ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
もはやウッズは現役に未練なし?
思い出の大会、ドタキャンの真相は。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2017/02/26 11:30
16歳の頃、ロサンゼルスの地で輝かしいキャリアのスタートを切ったウッズ。それから25年、ドライバーを持つタイガーの姿は見られなかった。
「スイング? どうなんでしょうね。もちろん……」
ウッズはこれまで何度もスイングを変え、そのたびに勝利を重ねてきたという点でも稀なゴルファーである。だが、今はそこにポジティブな要素を見つけ出すのが難しくはある。
「スイング? どうなんでしょうね。もちろん、昔とは違いますよね。年齢も重ねていくんで変わっていく。でも、自分のベストを尽くそうと思ってやっているんだと思う」という松山の表情にはどこか寂しさも漂った。
ウッズは昨年10月、TGRという自身のビジネスブランドを発表した。
プロ生活20年の節目で、父・アールさん(2006年に逝去)とともに行なってきた、チャリティなどの事業活動と統合した団体を設立した。冒頭のロサンゼルスでのジェネシスオープンは、6月からのクイッケンローンズナショナルと並び、このTGRが運営に加わったツアーの試合だった。
そのためウッズは試合を欠場しても開幕前に会見に出席する予定だった。しかし、前日夜にそれもドタキャン。フロリダから空路でやってきたものの、ドクターストップがかかった。
「横になっていた方がいい」と。
出場キャンセルの一方、プレー外活動に精を出した。
場内にはTGR主導のイベントが各種用意されていた。奨学制度の紹介やチャリティ活動をはじめ、フロリダ・ジュピターにある自身プロデュースのレストランは売店を出店。オリジナルメニューの食べ物が入った紙の容器には、ウッズのこれまでの数々の偉業が記されていた。
その前週にはウッズが歌手・俳優のジャスティン・ティンバーレイクらと、高級リゾート企業を通じてジュニアゴルフツアーに出資することが発表された。2007年にフロリダ、ジョージア、サウスカロライナで始まった「ハリケーン・ジュニアゴルフツアー」は、いまでは32州を舞台に年間250試合以上、8歳から18歳までの少年少女およそ8000人が参加しているという。
また、開幕前にはナイキ社による「EQUALITY」という新キャンペーンに賛同したことも発表された。バスケットボールのレブロン・ジェームズ、女子テニスのセリーナ・ウィリアムズら同社契約のアスリートとともに、ウッズは反差別へのメッセージを並べた。
ジェネシスオープンの会場にはキャンペーンロゴがあしらわれた、そろいの黒いシャツを着た多民族のスタッフが来場。同社契約の16人のプロゴルファーは大会初日、それぞれディティールは異なれど、黒を基調としたウエアでプレーした。