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アメリカが勝たないとWBCが終わる!?
主催者は意欲的でも現場の関心は……。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2017/02/25 07:00
メジャー組で唯一侍ジャパンに参加する青木宣親。舞台をアメリカに移す準決勝以降、彼の存在はより大きくなるに違いない。
アメリカの先発投手に超一流は見当たらない。
<ドミニカ>
ジョニー・クエート(投手/ジャイアンツ)
ロビンソン・カノー(内野手/マリナーズ)
マニー・マチャード(内野手/オリオールズ)
ネルソン・クルーズ(外野手/マリナーズ)
<プエルトリコ>
ヤディアー・モリーナ(捕手/カーディナルス)
カルロス・ベルトラン(外野手/アストロズ)
この6人だけでも、そうそうたる顔ぶれだ。
では、アメリカはどうか?
野手では、ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)、ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)らのパワーヒッターが名をつらねるが、先発投手で「超一流」と呼ばれる選手が見当たらない。
当初は、サイ・ヤング賞投手のマックス・シャーザー(ナショナルズ)の参加も噂されていたが、結局は回避。
もともと投球数制限もあり、リリーフ投手の需要が高いことは間違いないが、WBCという大会の「PR効果」を考えた時に、主戦投手のネームバリューは欲しいところだった。
勝てば、いくらアメリカでも国内の関心が高まる。
実は今回のWBCに関しては、アメリカに頑張って欲しいという気持ちがある。なぜなら、WBCが今後も継続していくためには、アメリカが今大会を盛り上げることが必要だと感じるからだ。
主催者であるメジャーリーグ機構は、WBCを軌道に乗せるために多大な努力をしてきた。世界に野球を広める意味もあって、昨年、行われていた予選ラウンドには大きな投資をしてきたし、本大会の事前のPR活動も積極的に行っている。主催者の並々ならぬ意欲が感じられる。
しかし、いかんせんアメリカ国内での関心が低いのをなんとかしなければいけない。いちばんの特効薬は、勝つことにつきる。少なくとも2次ラウンドを突破し、準決勝には進出してもらいたい。