プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「最も大事なのは筒香の後ろ」
WBC、小久保監督は誰を選ぶ?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/02/16 12:30
DeNA宜野湾キャンプにてフリー打撃練習に励む筒香。左奥は日本代表の小久保監督。
なかなか決まらない侍打線の「4番」の問題。
「(青木と1、2番を組む)可能性はあります。本人にはサードを守らせることはないからと伝えた。菊池もいるし状態の良い方をしっかり使おうと思うし、2人を同時に出す方法はないかということも考える」
こう語ったのは、沖縄・浦添のヤクルトキャンプで山田哲人内野手とヒューストン・アストロズの青木宣親外野手の1、2番起用に触れたときだ。
山田に関しては同じセカンドには広島の菊池涼介内野手がいるため、2人を流動的に起用する方針を示唆。その一方で山田本人には三塁では起用せず、あるとしたら指名打者を匂わせたわけである。
こうして徐々に概要が明らかになってくる侍打線だが、DeNAの筒香嘉智外野手と日本ハム・中田翔内野手を競わせてきた4番については、キャンプ視察の間も指揮官ははっきりとした発言を避け続けてきていることも印象に残った。
中田と筒香が競い合う、2人の相乗効果こそが狙い。
「小久保監督の中では、筒香が最も信頼できるバッターという認識はかなり前から確立されているんです」
こう語るのはあるチーム関係者。
「それなら筒香を素直に4番で使えばベストかというと、チーム力としてはそうとも言えないのが最大の悩みどころ。今の筒香ならどの打順でも十分に力を発揮してくれる。そうなると中田の力をいかに出させるか。2人の組み合わせ方、中田本人のモチベーションを含めて、どういう打順が2人の力を相乗効果にして引き出せるかを考え、そこで悩んでいるということだと思います」
この小久保監督の苦悩を表すのが、昨年11月に行った強化試合での、こんな発言だった。
「最も大事なのは筒香の後ろを打つ打者」
この強化試合では全4戦とも4番に中田、5番に筒香という並びだった。
ここから読み取れるのは中田、筒香という並びはあるが、その逆の筒香、中田という並びはないということ、もし筒香を4番で起用するなら、中田の5番はないということだ。
そうなると中田の置き場所は6番ないしは7番が考えられるが、それがチーム力として最善かどうか。そしてそうなったときに今度は誰が5番を打つのか、という問題も起きてくる。
そのためこの強化試合では、筒香の後ろ探しが大きなテーマだったわけである。