ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
松山英樹の仏頂面が米でもネタに。
中継で定番になった、あるフレーズ。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2017/02/08 08:00
松山の目指す地点は果てしなく高い。だからこそ一打ごとに一喜一憂する必要はないのだ。
ドライバー飛距離が明らかに伸びてきている。
2016年は10月の日本オープンから数えて出場5試合で4勝を挙げた。そして年明けに出場した4試合を含めると、9戦5勝で2位が2回。日々の鍛練の成果と才能が一気に爆発した様子をうかがわせる。
自信というのは時に恐ろしく、好結果を面白いように連鎖させる。だが“調子が良い”とか“勢いがある”といった言葉だけで進化を表現するのは、少しばかり気が引ける。昨秋以降の松山には、強さを下支えする変化があるように思う。
ツアーが算出するデータを見ると、明らかな成長を見せているのがティショットの飛距離である。昨シーズン1年間のドライビングディスタンスは294.5ヤードで全体65位だったが、今季はここまで305.7ヤードで23位。2連覇した今大会でいえば、最終日のティショットの平均飛距離は前年の299ヤードに対し、今年は329ヤードと大幅に伸びた。
最終ラウンドのプレーオフ突入前、18番ホールで見せたドライバーショットは、前年の327ヤードを大きく上回る357ヤードを記録。2打目に残したピンまでの距離はわずか74ヤードだった。
飛び過ぎて、フェアウェイが狭くなるということも。
試合後、進藤大典キャディはこう話した。
「すごく飛んでいる。飛び過ぎて……逆に狭く、難しくなった」
1年前よりも遠くに飛ばせることを実感しつつも、ボールが到達するエリアのフェアウェイの横幅が以前よりも短く、キープすることが大変になったという。
とはいえこの数字は松山のレベルアップの一端であるはずだが、本人はこの件について自ら認めようとしない。「ドライバーの飛距離が伸びたのでは?」という問いには、
「下が硬いから(地面が硬くてボールが転がっただけ)」
「(風が)フォローだっただけ」
このような、つれない答えが返ってくる。