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カップ戦でも出番無く、笑顔は硬く。
本田圭佑の2017年は始まっていない。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/01/13 17:20

カップ戦でも出番無く、笑顔は硬く。本田圭佑の2017年は始まっていない。<Number Web> photograph by Getty Images

今冬の移籍も噂されていた本田圭佑だが、現実味のある話は聞こえてこない。彼の2017年は果たしてどうなる。

トリノに先制点を奪われ、本田のアップに熱が入る。

 だが、試合開始とともに、ミランは呆気なく弱点を晒し出した。

 本田が今季唯一先発した昨秋のジェノア戦でも顕著だったが、スタメンを固定化することで結束力とプレー精度を保っているミランは、先発の半分を入れ替えたトリノ戦の序盤に組織的プレーの共有意識が薄れ、攻守のプレーバランスを欠いた。リーグ戦ではありえないほど、前半のミランにはキックミスも目立った。

 氷点下に霧雨が降っていた。寒さで動きが鈍る上に、湿るピッチで球が走らない。劣悪なコンディションだったのも確かだ。

 しかし、闘将ミハイロビッチ率いるトリノは、敵地にあたるサン・シーロで果敢に攻めてきた。昨年12月にクラブ創設110周年を祝ったばかりの彼らにも、“記念のシーズンにEL出場権を”という切実な理由があるのだ。

 27分、トリノのイタリア代表FWベロッティが高速カウンターから先制点を奪った。3分後にも、トリノは左サイドを攻略して追加点を狙った。

 試合の前半を終えたとき、劣勢のミランは大会敗退に片足を突っ込んでいた。何としてでも、まずは同点に追いつかねばならない。

 本田のアップに熱が入り始めたのは、そんな状況下だった。

あっという間の逆転劇は、本田投入の逆風に。

 後半開始から数分後、ミランFWラパドゥーラとトリノGKハートが交錯したアクシデントの影響でプレーが長く中断する間も、本田は黙々と体を温めた。

 10番投入はどのタイミングか、とベンチを凝視した矢先、ミランが同点に追いついた。61分だった。

 指揮官モンテッラが絶対の信頼を置くFWスソのドリブルシュートは、トリノの守護神GKハートに防がれた。だが、左サイドでこぼれ球を拾ったMFボナベントゥーラの低空クロスをMFクツカが蹴り込んだ。

 さらに3分後、再びFWスソがトリノのゴール前に迫った。ゴール前に放たれた弓なりの鋭いクロスの落ち際を、MFボナベントゥーラが右足で叩き込んだ。

 劇的なスーパーゴールは、チームの士気を飛躍的に高める。それが逆転弾であればなおさらだ。69分には、GKドンナルンマが相手FWベロッティとの1対1の場面を防いだ。

 ミランは試合への意欲と大会制覇への士気を完全に取り戻した。

【次ページ】 “同点のための本田投入”という選択肢が消えた。

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