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笑わない男・小笠原満男が笑った日。
現チームの礎を作ったあのタイトル。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/01/06 11:00
シーズン終盤に鹿島が得た経験は、他のJクラブが体験したことのないものだった。それはどんな財産になるのだろうか。
ほとんど笑顔を見せずに「嬉しいですね」。
取材エリアに現れた小笠原はほとんど笑みを見せることがなかった。
「シーズン最後にタイトルをとれたのは、嬉しいですね。まあこれを続けていくことが、もっともっと大事になってくると思う。ただこの経験というものは絶対に財産になるから、これを途切らせないように、さらに強いチームになっていきたい。
内容をみれば、今日もやられてもおかしくない、ピンチがあった。もっと高いレベルになると決められてしまうわけで。そういうところは、しっかりと見ていかないと勝ってはいけない。失点しなかったからよかったじゃなくて。もっと強いチームになっていかなくちゃいけないから」
ACLも含めた週2試合を「当たり前」にする。
鹿島は年末からの約1カ月で、10試合を消化した。試合を重ねるごとに盤石な安定感を見せつけたかに見えるが、小笠原は満足してはいなかった。それでも3回の決勝戦で2つのタイトルを獲得。鹿島の“強さ”を改めて印象づけた。
「それがこのチームだし、日程的なもの、いろんなものを含めた中でも勝ち切ったというのは絶対にいい経験になる。自分もタイトルをとって成長してきたけど、今いる選手ももっともっと成長して、そういう伝統を繋いでいければいい。
大事なのは本当にこれからだから。来シーズン勝てなかったら、意味がない。勝って勝ち続ける。今年はACLがあるし、1ステージ制。だから取り返しがつかない。安定した力が必要になる。
ACLがあれば、週2試合というのが続く。それが過密日程じゃなく、当たり前の日程だと考えるようにしていきたい。そのなかで勝っていかなくちゃいけないし、戦っていかなくちゃいけないから。そういうときの勝ち方というのを覚えていかなくちゃいけない。タフにならなくちゃ、勝ちぬけない」
2つのタイトルを手にし、世界大会準優勝。しかし、小笠原からは満足感も達成感も漂ってこない。