沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
キタサンが流れを作りサトノが追う。
有馬記念の直線は真っ向叩き合いか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/12/24 09:00
キタサンブラックは有馬記念を勝つと、獲得賞金が10億円の大台に乗る。凱旋門賞への挑戦も噂されているが果たして。
池江厩舎は6年連続の有馬記念3頭出し。
池江厩舎はサトノノブレス、ミッキークイーンとの3頭出し。これで6年連続の3頭出しで、その前年、2010年は2頭、'09年は勝ち馬のドリームジャーニー、'08年もドリームジャーニー(4着)を出走させていたように、グランプリ制覇には毎年強い意欲を見せている。
その池江調教師がコメントしているように、サトノダイヤモンドはすべてにおいて90点以上という優等生で、同じ厩舎にいたオルフェーヴルとはまったくタイプが違う。爆発力ではまだオルフェに及ばないが、欠点がないため、総合力ではそう差のないところにいると見ていい。
キタサンのように強力な先行力を武器とする馬を負かすには、後ろから一気に追い上げ、並ぶ間もなくかわすのが一番なのだが、おそらく武がそうさせじとロングスパートをかけ、後続も少しずつ脚を使わざるを得ない流れをつくり出すと思われる。
早めに動いたキタサンを射程に入れながら進出し、直線でびっしり叩き合う真っ向勝負に持ち込めそうな馬は、やはりこの馬しかいない。
タフな消耗戦になった場合、他馬が次々と脱落し、キタサンとサトノが後ろを大きく離したマッチレースになるかもしれない。武とクリストフ・ルメールの腕比べも見ものだ。
ゴールドアクターは500キロが「買い」の分岐点か。
キタサンとサトノの「2強」というムードではあるが、ほかの出走馬も強い。
出走馬16頭中7頭が昨年も出走しており、そのうち4頭が1~4着になった。1年前の再戦に近い部分もあるとなると、昨年の覇者ゴールドアクター(牡5歳、父スクリーンヒーロー、美浦・中川公成厩舎)を無視するわけにはいかない。中山コースでは6戦4勝、うち重賞3勝。勝てば'03年シンボリクリスエス以来13年ぶり5頭目の連覇となる。前走のジャパンカップでは騎手、調教師ともに体に余裕があったとコメントしており、今回は500キロを切って出てくるのが「買い」の条件か。