サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
長谷部、香川、内田らに愛される男。
清武弘嗣、優しさから熱さへの転換。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/11/25 07:00
サウジ戦でPKを得た瞬間、清武はいち早くボールを手にした。長友らチームメートも万全の信頼を寄せてキッカーを託した。
ボスニア戦の敗戦後、W杯決勝に敗れたかのようだった。
ボスニア戦は、6月に日本で行われたキリンカップの決勝戦で、1-2で敗れている。
清武はキリンカップ前に、当時所属していたハノーファーで怪我をしていたため、1か月弱にわたり試合に出ていない期間があった。その間に休みの日も返上してクラブハウスでリハビリに励んでいたことはあまり知られていない。そして実戦から離れていたにもかかわらず、試合勘を危惧する声はセビージャに所属する現在ほど出ていなかった。
その状況で迎えたボスニア戦は決勝戦と銘打たれていたが、あくまでも親善試合だった。それでも親善試合か、公式戦なのかは、清武には関係ない。試合後、まるでW杯決勝で敗れたかのように落胆していたのも、彼の覚悟の裏返しだろう。
どんな試合でも、勝利のために全力を尽くす。当たり前ではあるが、貫くのが簡単ではない清武の姿勢は、いつか、フィードバックされるはずだ。成長という果実となって。