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5万超の大観衆を集めた新城ラリー。
勝田範彦が逆転でチャンピオン獲得! 

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posted2016/11/11 18:00

5万超の大観衆を集めた新城ラリー。勝田範彦が逆転でチャンピオン獲得!<Number Web> photograph by CINQ

3年ぶり通算7度目のタイトルを獲得した勝田範彦選手(左)とコドライバーの石田裕一選手。

「新城ラリーは自分にとって得意なラリーなので」

 ライバルの脱落により、逆転チャンピオン獲得への道が大きく開けた勝田は、2日目に入り追い上げを図る新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)を22.5秒引き離してフィニッシュ。

 今季4勝目を獲得するとともに、シリーズポイントで奴田原を逆転。2013年以来3年ぶり、通算7回目の年間チャンピオンを獲得した。

 また、第8戦に続きJN5クラスを制した新井大輝/小坂典嵩(シトロエンDS3 R3-MAX)が、格上の4WDターボ勢を上回る快走をみせ、総合3位と大健闘を果たした。

 地元愛知県出身の勝田は、逆転でチャンピオンを獲得したシーズンをこう振り返る。

「本当にうれしいです。今回はマシンの状態がものすごく良く、タイヤも路面に合っていたことが勝因だと思います。今シーズンは前半の3戦は調子が良かったのですが、中盤戦から失速してしまい苦しい展開となりました。特に第7戦のラリー北海道でリタイアした時は、今年のチャンピオンはもう無理じゃないかと心が折れそうになったのも確かです。でも、ラリーは最後まで何が起きるか分からないし、特にこの新城ラリーは自分にとって得意なラリーなので、最後まで諦めずミスさえしなければなんとかなると気持ちを奮い立たせて挑んだことが、結果に結びついたと思います」

勝田と奴田原の名勝負が繰り広げられていたが……。

 一方、敗れた奴田原も、リタイアの原因は単なるドライビングミスではなかったことを、コ・ドライバーの佐藤が明かした。

「実は、SS1の7秒差はそれほどショックではありませんでした。勝田選手が得意としている雁峰北は、いつもそのくらいタイム差をつけられますから。逆に、奴田原選手が得意な鬼久保ステージでは、過去のデータから約3秒程度勝田選手に勝っています。今回のラリーは、雁峰北ステージを2回、鬼久保ステージを5回走る設定だったので、勝負どころだと言われているこの2カ所をトータルすれば五分五分、もしくは自分たちにマージンがあると考えていました。だからこそ、雁峰北よりも比較的中速コーナーが多く、距離の長い長篠設楽原で、勝田選手を上回るタイムを出そうと勝負をかけたんです。ですから、その結果がリタイアということは、悔しいけれど勝負である以上仕方がないことだと思っています」

 お互いに手の内を知り尽くし、10年間でたったふたりしかいないウイナー同士だったからこその名勝負がSS2に隠されていたのだ。

【次ページ】 来季も勝田、奴田原、新井の三つ巴は続く。

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