プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
ゴジラもデスマッチも商店街も……。
大日本プロレス、究極の混沌と悦楽。
posted2016/11/09 11:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
大日本プロレスに勢いがある。
大日本名物の「蛍光灯デスマッチ」を私は好きではないが、改めて凄い、凄すぎる……と思い至ることとなった。
10月31日。後楽園ホール。
恐る恐るレスラーが蛍光灯と対峙し……なんていうのは昔の話。並んだ蛍光灯の束に、次から次へと躊躇なくレスラー達が突っ込んでいく。蛍光灯の束を思いっきり相手の頭に振り下ろす。蛍光灯は粉々になって破片が観客席まで飛び散る。レスラーの体は傷だらけだ。
宮本裕向とタッグを組んでいる木高イサミは自分の頭で蛍光灯をパキン、パキンと叩き割る。お前は何者だ!
一見、残酷ショーのようであって、残酷ショーではない。まるで、路上パフォーマーのようなカラッとした陽気さもあって、ファンの支持も急上昇中なのだ。
凄いのは、十分伝わる。伝わり過ぎて、凄すぎて、危な過ぎて、私はとてもリングサイドで撮影する気になれない。
昔、この団体の取材をした折に、指先に刺さった蛍光灯の小さな破片がトラウマなのか――。
バケツでバシャー! ボウリング玉でゴロンゴロン。
江頭2:50みたいな風変りな双子の2人組がいる。
バラモンシュウ、バラモンケイの「バラモン兄弟」だが、入場した途端、観客に平気で水をぶっかけ始める。
ペットボトルならまだしも、いきなりバケツで「バシャー!!」だ。無差別だから、避けようがない。
ボウリングのボール転がしは定番だ。
客の荷物もお構いなしだ。逃げるときにカバンを置き忘れたら、バラモン兄弟のボウリングのボールの餌食になる。
ところが観客はといえば……ビニール傘持参でこれをライブで楽しんでいる。新聞紙くらいじゃとてもガードしきれない。これじゃあ、びしょぬれだ。次から次へ、水は尽きることがないのである。