プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
ゴジラもデスマッチも商店街も……。
大日本プロレス、究極の混沌と悦楽。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/11/09 11:00
左から、沼澤邪鬼、西村喜廣監督、グレート小鹿会長、登坂栄児社長。
観戦する子供たちも、すっかり水かけごっこに夢中!
口に含んだ水やコーラを相手に吹きかける。
まるで水鉄砲ごっこの様相。
近くで見ている子ども達の顔を見ると、怖がるどころか「僕もやりたいよー!」と言わんばかりに楽しそうに笑っている。子どもの感性というものは正直だ。大日本プロレスの仕掛けは、老若男女問わず見事に受け入れられているのである。
そして、最後は力と技のストロングスタイルだ。
デスマッチの勝ち上がり組も、イスや凶器を放棄して真っ向勝負だ。ラリアットもジャーマンスープレックスも気合の入り方が違う。
全日本プロレスの世界タッグ王座も保持。
他団体である全日本プロレスの至宝、世界タッグ王者の関本大介と岡林裕二組は、せっかく大日本プロレスの「最侠タッグリーグ」で優勝したのに、その優勝チームにトロフィーもパネルもない。
いや、本当はあったのだが、スタッフが後楽園ホールに持ってくるのを忘れてしまったというのだ。
若手レスラーが恐る恐る「ないんですけれど……」と関本に伝えると、「ああそう。いいよ」と関本自身はまったく動じない。観客には、「優勝トロフィーないんで。明日もらいますから」と淡々と伝えていた。
リングには、大人気映画『シン・ゴジラ』や『進撃の巨人』などに特殊造形プロデューサーとして関わった、映画監督の西村喜廣さんも登場だ。
“黒天使”沼澤邪鬼が西村監督の次回作に牧師役(どうやらまともな牧師ではないようだが)で出演した縁で観戦にやってきたのだという。
これを大日本の登坂栄児代表は見逃さなかった。
ここぞとばかり特殊メイクを西村監督に頼み込んで、大日本プロレス会長であるグレート小鹿にもハロウィーンのペインティングをしてしまった。
つくづく登坂さんは周りを巻き込むのがうまい。試合前やブレイクで、マイクを握って煽りのトークもすれば、テレビ放送席にも座ってしまうのだ。