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宇野昌磨、フリーで初めて4回転3本!
スケートアメリカで優勝した舞台裏。
posted2016/10/25 17:15
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
シカゴ郊外ホフマン・エステーツで開催されたスケートアメリカで、18歳の宇野昌磨が見事に優勝を果たした。昨年、パリのテロ事件でSP後に開催中断となったエリック・ボンパール杯を除くと、今回が宇野のシニアGPでの初タイトルである。
宇野はSPで、映画『ラヴェンダーの咲く庭で』のサントラである『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー』に合わせて、4フリップを着氷、続いて4+3トウループの最後で転倒、そして3アクセルではちょっと滑りかけたが耐えるという演技を披露。転倒した3トウループは回転不足の判定になり89.15を得てトップに立った。
演技後、宇野はすっきりした良い表情でミックスゾーンに現われ、こう語った。
「練習通り、自分の思い通りに体は動いていた。トウループでは1個目がすごく良くて、2個目のジャンプで失敗してしまったことが心残りですけれど。それ以外にもアクセルが緊張して前のめりになってしまった。でも練習どおりの体の動きようで、あの演技だったので、課題はとりあえずクリアできたと思います」
言葉も明確で声にも力があり、取材に応える態度もトップクラス選手の風格である。
89.15という点は、4フリップを成功させた割には低い印象もあったものの、本人は「予想通り、このぐらいかなと思った点が出ました」と納得した様子を見せた。
個性派のアメリカ勢2人が2位と3位に。
メダル候補だったボストン世界選手権・銅メダリストのボーヤン・ジン(中国)がジャンプエレメントを3回とも失敗するという予想外の展開の中、SP2位は全米チャンピオンのアダム・リッポンだった。
今シーズンからISUのルールが変わり、男子の袖なしの衣装が許可されたが、リッポンは早速タンクトップの衣装で登場。ノリの良いクラブミュージックを使った斬新なプログラムで観客の視線を釘付けにした。4回転は含まないものノーミスの演技で、87.32を獲得。
同じく米代表のジェイソン・ブラウンは冒頭で4トウループに挑戦。転倒したものの、残りのジャンプはノーミスできめた。柔軟ながら強靭な体で、表現力豊かなプログラムを滑りきった。ハイドロブレードのかがんだ姿勢からいきなり高いスプリットジャンプ、そしてすぐスピンに入る、というような、彼ならではの見せ場が満載のプログラムで85.75を獲得してSP3位についた。