プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
新タイガーマスクWの危険な仮面。
「失敗しない男」が遭遇した問題点。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/10/15 11:00
過去のどのバージョンのタイガーマスクとも似ていないタイガーマスクW。技のキレは過去のどのバージョンと比べても、勝るとも劣らない。
タイガーマスクWの鼻は、改良が必要だ。
当時は日本のタイガーマスク・ブームで偽物の虎仮面が何人も出たし、ライオンを模したマスクマンもいたが、タテガミはあったが鼻は普通だった。
やっぱり、タイガーマスクWのマスクは実戦用に改良が必要だろう。このまま戦いを重ねるとワザを失敗しない男でも、視界不良でいつか危険と遭遇することになる。それだけはなんとしても回避する必要がある。
タイガーマスクWはある日本人レスラーに酷似している。その動きを見た国技館のファンからは彼の名が自然にコールされた。
そう、日本のプロレスファンならだれでも知っている人気レスラーに間違いない。
後に伝説になるかもしれない試合を見逃した人も。
「テレビ・アニメ『タイガーマスクW』放映記念」と銘打ったタイガーマスクWとレッドデスマスクの試合は、まだ観客が入場を続けている時間に組まれた。
チケットに書かれている16時の試合開始時間の30分前だ。チケットはソールドアウトだったが、まだ観客は約半数しか席についていなかった。
この10月からテレビ朝日で始まった新番組の単なるキャンペーンだと思って、無視した人もいるだろう。
インターネットでは告知されていたが、試合があるのを知らなかった人もいただろう。
だが、いずれの理由にせよ、中身を聞かされて、後に伝説になるかもしれない試合を見逃したことを悔やむファンが多くいたはずだ。
マントを翻して花道を入ってきたタイガーマスクWは、赤のコーナーポストに人差し指を突き上げて立った。
そして、リングに降り立つと、「中身はオレだ」とアピールするように拳と掌底の素早い動きを見せた。
青コーナーから場外に三角飛びの宙返りラ・ケブラーダを見せた時には、ほとんどの人がその正体に気づいたはずだ。
逆に正体を知ってうれしくなっただろう。