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“ダメレスラー”が大仁田より大暴れ!
「ガンバレ☆プロレス」が醸す人間味。

posted2016/10/09 08:00

 
“ダメレスラー”が大仁田より大暴れ!「ガンバレ☆プロレス」が醸す人間味。<Number Web> photograph by DDT Pro-westling

お金はない。有名プロレスラーもいない。それでも「ガンバレ☆プロレス」は人々を興奮させる根源的なパッションを持っている。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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DDT Pro-westling

 ガンバレ☆プロレス、通称ガンプロはDDT系列の極小プロレス団体で、代表兼エースの大家健(おおか・けん)が2013年に旗揚げした。スローガンは「プロレスをメジャースポーツに」。ずいぶん大きく出た。ふだん観客100人くらいの会場でやってるのに。大家がDDT系の他の団体から弾き出されて、たった15000円の旗揚げ資金で作った団体なのに(そのお金もスタッフの定期代から拝借)。

 だけど大家は言うのだ。プロレスをメジャースポーツにするという壮大すぎる夢も「思っちゃったもんは仕方ないじゃないですか! 笑いたい奴は笑えばいいよ!」。いやまあ、確かに仕方ない。そうやって突っ走るしかない、一直線に頑張るしかないのだ、この男は。変に要領よくやったり、スムーズに物事が進んで調子に乗ると必ず誰かに大目玉を食らう。人生じたいがそういうふうになっている。

後楽園ホール使用料が払えず、記者にお金を借りる。

 そもそも、最初に入門した団体ではデビューできなかった。DDTでは失踪騒ぎを起こし、地方で期間工として働いていたこともある。挙げ句の果てにホテルの一室で睡眠薬を大量に飲んだ。そのホテル、なぜか朝食付きのプランだったとも言われるが、それはまあいい。

 何度も挫折して、その度に大家を救ってくれたのはプロレスだった。戻る場所はリングしかなかった。ダメレスラーだった大家は笑われた時にヘラヘラしながらごまかすのをやめて、みっともなくてもなんでもいいから、最後にたどりついたガンプロで頑張ることにした。それがプロレスへの恩返しだった。

 とにかくまっすぐにやるしかない。いきなり思い立っていつもより10倍もキャパが大きい後楽園ホールで大会をやろうと決めると、大家はマスコミを引き連れて会場に直談判に行った。結果、日曜日である10月2日の使用権を抑えることができたのだが、貯金を全額おろして持ってきたのに予約金が足りないことが発覚、取材に来ていた記者たちに1万円ずつ借りたりもした。

 情けない団体だなぁ。でも仕方ないじゃないか、後楽園でやろうって思っちゃったんだから。それがメジャースポーツへの道なんだから。そりゃあ僕だって1万円とはいえプロレス団体にお金を貸すようなことになるとは思わなかったけど、大家健だから仕方ない。

【次ページ】 何やってんのよ大家vs.涙のカリスマ大仁田が実現。

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