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「25人枠」で飼い殺しの“不良中年”。
天才カッサーノに新天地はあるのか。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/09/08 11:40

「25人枠」で飼い殺しの“不良中年”。天才カッサーノに新天地はあるのか。<Number Web> photograph by AFLO

かつて長友佑都の“兄貴分”として知られたカッサーノだが、昨季は明らかにウェイトオーバーで試合に臨んでいた。

メキシコや中国よりも、港町ジェノバで悠々自適?

 今、彼の傍らでは半分ほどの年齢の選手たちが、天才の左足に目を丸くしている。

 騒動の後で、カッサーノの代理人は「メキシコや中国からの高額オファーもあったのに本人が嫌がった」と明かした。

 ローマからマドリード、ミラノと大都市を放浪してきたカッサーノにとって、家族と人生の根を張る港町ジェノバはたとえ飼い殺しの身であっても、捨てがたいほど居心地がいいらしい。

 会長から守銭奴となじられながら、キャリアの晩年を静かに過ごそうとする悪童の姿を誰が想像したか。

 それでも、弛んだおなかをダブつかせながら、カッサーノは冬の市場で“やっぱり故郷バーリへ移籍したい”とか言い出しそうな気もする。

“ひよっ子ども、まだまだ俺はやれるぜ”と言いつつ、かつて天才FWゾラがキャリア晩年に故郷サルデーニャ島で成し遂げたように、古巣バーリのセリエA昇格をアシストするのだ。

 我々の知るファンタジスタ、カッサーノならそれぐらいのサプライズは朝飯前だろうから。

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アントニオ・カッサーノ
サンプドリア

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