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東海大相模の両エースがプロで競う!
オリックス吉田凌のライバル物語。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/09/02 07:00
昨夏の甲子園、準決勝での吉田。プロ入り後、まだ一軍登録に届いてこそいないが、本人は「まずは身体作りが優先」と日々練習に励む。
プロの狭いストライクゾーンに四苦八苦。
ただ、プロに入って苦労しているのがストライクゾーンの違いだ。
「高校生の時よりめっちゃ狭いです。甲子園の時に比べたら半分ぐらいに感じます。甲子園はピッチャー有利だったとわかってはいたんですけど……。相手はプロなので厳しいところに投げなきゃいけないけど、厳しいところを狙ったらボールと言われ、ボール先行になって苦しくなってしまう。もっとコントロールを磨かなきゃいけないし、ストライクゾーンで勝負できるボールを追求しなきゃいけないなと痛感しています」
ウエスタン・リーグで6月23日に初先発し、7月9日の広島戦は5回無失点に抑えるなど、勝ちがついてもおかしくない試合もあったが、これまでファームで7試合に先発してまだ白星に恵まれていない。
「甘くないですね。でも、1年目2年目は苦しめばいいと思うんで」と気丈に構える。
「親友の小笠原の活躍だけ気になります」
一方の小笠原は、こちらも勝ち星に恵まれていないとはいえ、すでに一軍で11試合に登板している。他にも高卒ルーキーでは楽天のオコエやロッテの平沢大河といった選手が早々と一軍デビューを果たした。そんな同級生の一軍での活躍を吉田はどう感じているのだろうか。
「小笠原だけ気になります。それ以外はまったく、なにも気にならないです」
気持ちいいほどハッキリと言いきった。
「それはしかたないですよね。やっぱりチームメイトだったし、一番親友なので。一番いい刺激になります」
その親友とは卒業式以来、会っていない。神戸か名古屋で食事に行こうと約束しているのだが、これまではすれ違いが続き球場で会うこともなかった。
「会っても別に『どう最近?』って言うぐらいだし、今更なんか、照れくさいですよね」と吉田は笑う。
1年前、ともに目標を達成した親友でありライバル。いつか追いつき、追い越すと決めている。