F1ピットストップBACK NUMBER
ハミルトンとロズベルグが再び激突。
死亡事故から2年で、既に安全軽視!?
posted2016/07/31 07:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Hiroshi Kaneko
7月下旬に行われたハンガリーGPで、ハミルトンとロズベルグのメルセデスAMGに所属する2人のドライバーが激しく対立した。それは、タイトルをかけたコース上の戦いではなく、安全面での話だ。
それはハンガリーGPの予選で起きた、ある事故が発端となった。
ポールポジションを決めるQ3の最後のアタックでアロンソがスピン。コース脇に立ち往生してしまったため、マーシャルが出て行ってアロンソのマシンを移動させた。その際、直前のコーナーのマーシャルポストでは、ダブルイエロー(2本黄旗振動)状態となっていた。
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F1に限らず、モータースポーツの世界で、黄旗はドライバーとして覚えておかなければならないもっとも重要な旗である。ただし、同じ黄旗でも以下のように2種類の提示がある。
・1本振られている場合
コース脇やコースの一部に危険箇所あり。速度を落とし、追い越しをしない。進路変更可能な速度まで減速すること。
・2本振られている場合
コースを完全にあるいは部分的にブロックするような危険箇所、もしくはマーシャルがコース上で作業をしている箇所あり。そのため速度は大幅に落とし、進路変更、あるいは停止できる速度まで減速すること。もちろん、追い越しは禁止。
アロンソのスピンによってダブルイエロー状態になっていたため、ハミルトンをはじめ、多くのドライバーが大きく減速。事実上、タイムアタックを中止せざるを得なかった。
FIAの調査では無罪放免となったが……。
ところが、この最後のアタックで自己ベストを更新したドライバーが何人かいた。そのひとりがロズベルグだった。
しかも、ロズベルグの自己ベストはハミルトンの暫定ポールポジションタイムをも上回ったものだから、タイムが更新できなかったドライバーから異論が噴出した。
事態を重く見たFIA(国際自動車連盟)はチームの代表者とロズベルグを呼び出し、聞き取り調査を行う。だが、審議の結果、レース審議委員会は「テレメトリーにより、ドライバーは該当区間で大幅に速度を落としていたことが確認された」として、ロズベルグに罰則は科さなかった。