欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
“なぜか決める”ミュラー不発が象徴。
個の力が欠如したドイツEURO敗退。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2016/07/08 16:30
フランスに敗れ落ち込むミュラーと、慰めるシュバインシュタイガー。期待されたミュラーは、決勝Tを無得点で去ることになった。
予選で9得点のミュラーが本大会では無得点!?
大きな誤算を挙げるとすれば、ベイルやロナウドにも劣らない働きが期待されたミュラーの不振だろう。
予選9試合で9ゴールと爆発し、トップスコアラー候補にも挙がっていた得点源は結局、まさかの無得点で大会を終えた。チャンスメークや守備の貢献度は高かったものの、最後まで持ち前の勝負強さを発揮できないままだった。
「不調でも、試合から消えていても、ワンプレーで大仕事をこなすのがミュラー」
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どこか神話めいたその言説が、今大会に限っては通じなかったのだ。
一方、攻撃陣で評価を高めたのがCFのゴメスだ。
2列目のアタッカーの飛び出しを促すポストプレー、前線での精力的なプレッシングなど、クローゼを想起させる利他的なプレーが冴え渡った。先発3試合で2ゴールと、限られた出番の中で結果を残していたストライカーの負傷欠場は、準決勝フランス戦での敗因の1つに挙げられるだろう。
今後に向けたドイツの課題は、7月10日で31歳になるこのベテランの後を継ぐストライカーを育てること。本職が攻撃的MFのゲッツェをシステムの頂点に据える“ゼロトップ”が予選時ほど機能しなかった以上、本格派のCF待望論に拍車が掛かりそうだ。
大きな収穫となった、右サイドバックのキミッヒ。
後継者問題に終止符が打たれたのは右サイドバック。
レーブ監督が北アイルランド戦でコンバートしたMFキミッヒが、決勝トーナメントの3試合でも堂々たるパフォーマンスを披露したのだ。
攻撃参加のタイミングが絶妙で、ビルドアップや高い位置での繋ぎのセンスも兼備。偉大な先達であるラーム以上のシュート意識も示した21歳の俊英は、フランス戦でパイエのドリブル突破を阻止するなど対人守備の強さも証明した。