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「選ばれし者」となったレブロン。
故郷クリーブランドとの約束を果たす。

posted2016/06/22 17:00

 
「選ばれし者」となったレブロン。故郷クリーブランドとの約束を果たす。<Number Web> photograph by Jesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images

2人の息子とチームメイトに囲まれ、満面の笑みのレブロン。試合直後には、号泣し、へたり込み、大勢と抱き合い……と大変な喜びようだった。

text by

長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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Jesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images

 王者が決まった日は、父の日でもあった。アリーナでは、スター選手が父との思い出を語っている映像などが流されていた。ウォリアーズのカリーやトンプソンは父もNBAでプレイした二世選手。幼少から恵まれた環境で一流の技術を学んで育った。しかし、レブロンには父親がいない。「父親に関しての情報がゼロに近い」という。母親は若くしてレブロンを授かり、女手ひとつで彼を育て、父親の役目も果たしてきた。レブロンが毎年父の日にカードを渡す相手は、母親だった。

 母が仕事に出ている間、レブロンはよく知り合いや友達の家に預けられた。幼い彼は、なぜ自分には父親がいないのか、なぜ母と自分は家を転々としなくてはならないのかと悩んだ。しかし8歳になる頃には自分が問題を起こしたり、無責任な行動をすると母に迷惑がかかることを悟り、責任ある生活を心がけるようになった。また自分を受け入れてくれた地元の仲間を家族同様に考え、絆を大切にしてきた。

 彼がスターになっても品行方正であり、仲間を大切にし続けている源はここにある。

なぜレブロンのアンチは多いのか。

 そんな心優しいレブロンなのに、彼ほどアンチの多いスターはいない。どんなに成功しても、評論家、OB、ファン、メディアの中にアンチは増殖していくばかり。プロになってからの13年間で一度もコート外でスキャンダルを起こしたことのない彼がなぜここまで嫌われ続けたのだろうか。

 13年前、高卒ながらドラフト1位に指名された彼は、全米の注目を浴びる存在になった。ネクスト・ジョーダンと、憧れの存在になぞらえた呼び声も高かった。ここまでは良かったのだが、NBAで1秒もプレイしていないうちに、スポンサーと億単位の契約を結び、背番号23を付け、ジョーダンが現役時にやった手にチョークをつけて粉を撒くパフォーマンスをルーティンにし、その上自分を「選ばれし者」と称した。まるでジョーダンの系譜を受け継いだような振る舞いを見せたことで、反感を買い始めたのだった。

【次ページ】 唐突なマイアミ移籍、その後もやまない批判。

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